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位相差顕微鏡BX-2705TPHL・BX-3500TPHLの違い

位相差顕微鏡BX-2705TPHL   /   位相差顕微鏡BX-3500TPHL

未染色・未固定で無色透明な一時プレパラート標本の観察に用いられる位相差顕微鏡ですが、レイマーでは現在2種類の正立型位相差顕微鏡(BX-2705TPHL・BX-3500TPHL)を取り扱っています。

これら2機種の違いについて、度々お問い合わせをいただいておりますので、本記事では2機種の特徴・相違点について説明します。

位相差顕微鏡BX-2705TPHL・位相差顕微鏡BX-3500TPHLの共通点について

位相差顕微鏡BX-2705TPHL・位相差顕微鏡BX-3500TPHLはいずれも正立型の位相差顕微鏡で、一般的な明視野観察用の生物顕微鏡として兼用可能なモデルです。
付属している対物レンズの本数に違いはありますが、倍率や分解能に影響する開口数は同一であるため、同じ標本に対し「あちらで見えてこちらで見えない」というようなことは起こりません。
従って、位相差顕微鏡や生物顕微鏡で観察できる標本であれば、どちらの機種を用いても特に問題はありません。

位相差顕微鏡BX-2705TPHL・BX-3500TPHLの仕様

位相差顕微鏡2機種の主な仕様は以下のとおりです。

位相差顕微鏡BX-2705TPHL生物顕微鏡BX-3500TPHL
位相差用対物レンズ仕様4本付属
10倍・20倍・100倍:アクロマート対物レンズ
40倍:プランアクロマート対物レンズ
4本付属
10倍・20倍・40倍・100倍:プランアクロマート対物レンズ
明視野用対物レンズ仕様4本付属
4倍・10倍・40倍・100倍:アクロマート対物レンズ
5本付属
4倍・10倍・20倍・40倍・100倍:プランアクロマート対物レンズ
接眼レンズ仕様WF10x/18mmWF10x/20mm(ハイアイポイント仕様)
ステージサイズ125mm x 135mm
可動域35mm x 75mm
140mm x 160mm
可動域50mm x 75mm
本体サイズ高さ:398mm ベース部:180mm x 222mm高さ:420mm ベース部:200mm x 255mm
本体重量約7kg約7.8kg

その他仕様詳細については、以下リンクボタンより製品ホームページをご参照ください。

位相差顕微鏡BX-2705TPHL・BX-3500TPHLの仕様の違いについて

前述した両機種の仕様差について、各項目ごとに解説します。

対物レンズの仕様差について

仕様上、最も性能差があるといえるのは対物レンズの違いです。

位相差顕微鏡BX-3500TPHLは付属するすべての対物レンズがプランアクロマート仕様となっており、位相差顕微鏡BX-2705TPHLは位相差用対物レンズ40倍のみが同じくプランアクロマート仕様、その他対物レンズは一般的なアクロマート仕様となっております。

プランアクロマートとアクロマートの性能差は像の平坦性であり、同一の平坦な標本をそれぞれの対物レンズを用いて視野中心に焦点を合わせて観察した際、アクロマート対物レンズは視野全体の60%程度に同時に焦点が合いますが、その外側は焦点のずれが生じます。
これに対し、プランアクロマート対物レンズは視野全体の90~95%程度まで同時に焦点が合うため、全体的にくっきりとした像が得られます。
アクロマート・プランアクロマートの違いについては以下記事を併せてご参照ください。

接眼レンズの仕様差について

いずれの機種も10倍の接眼レンズが付属しており、観察倍率に特に違いはありません。

位相差顕微鏡BX-2705TPHLの接眼レンズは視野数18mm、位相差顕微鏡BX-3500TPHLの接眼レンズは視野数20mmのため、位相差顕微鏡BX-3500TPHLのほうがひと回り広い視野が得られます。

※視野数…対物レンズを1倍とした場合の実視野直径。視野数20mmの接眼レンズの場合、対物レンズ1倍使用時に直径20mmの範囲が観察できるため、対物レンズ10倍時は直径2mm、40倍時は直径0.5mmが実視野となります。

また、位相差顕微鏡BX-3500TPHLの接眼レンズはハイ・アイポイント設計のため、接眼レンズから約15mm離れた箇所で観察できるようになっており、これにより眼鏡を掛けたままの検鏡が可能です。顕微鏡使用時の眼鏡の着け外しが不要となり、作業効率の向上が望めます。

ステージサイズの仕様差について

位相差顕微鏡BX-3500TPHLは位相差顕微鏡BX-2705TPHLよりひと回り大きなサイズのステージを有しています。
一般的なサイズのスライドグラス・プレパラートを設置する用途であればどちらの機種でも問題ありませんが、大型スライドの設置や、観察時に走査知る範囲が広い場合は位相差顕微鏡BX-3500TPHLが有用です。

その他の仕様差について

本体サイズは位相差顕微鏡BX-3500TPHLがやや大型のため、僅かですが重くなります。また、位相差顕微鏡BX-2705TPHLのみ持ち運びに便利なプラスチック製ケースが付属しておりますので、出張・移動先等での使用が多くある場合には位相差顕微鏡BX-2705TPHLが便利です。

位相差顕微鏡機種選定のポイント

前述しておりますとおり、両機種には異なる点も多数ありますが、標本の観察という点においてはどちらかでないといけない、というようなことはございません。

観察像の平坦性やハイ・アイポイント設計の接眼レンズを重視される場合や、設置予定の標本が大型の場合は上位機種の位相差顕微鏡BX-3500TPHLをお選びいただき、このあたりの仕様に特にこだわりが無い場合や出来るだけ予算を抑えたい場合には位相差顕微鏡BX-2705TPHLをお選びください。