Spectman 取扱説明書MANUAL_SPECTMAN

8. ライブスティッチング

ライブスティッチングは、Spectman for Windows/for Mac V.2.0より追加された機能です。プレビュー中に試料を移動させて、試料全体を走査(スキャン)し、リアルタイムに合成画像を生成します。

スティッチングにより、高倍率かつ広範囲を撮影した静止画が生成出来るため、分解能の高さと広い画角を両立させることが出来ます。

8.1 ライブスティッチングの準備

【WRAYCAM】撮影開始前まずはじめに行う準備・操作方法【露出時間・ホワイトバランス】 | WRAYMER顕微鏡 テクニカルサポート

WRAYCAMを使ったプレビュー、静止画・動画撮影前の設定等の準備(露出時間調整・ホワイトバランス調整)についての解説です。

http://wraymer.net/faq/camera/1009/

なお、スティッチングを行う際に自動露出になっていると、走査中に画面輝度が一定せず、スティッチング後の静止画に輝度ムラが生じる可能性があります。

ライブスティッチングは自動露出のチェックを外した状態で行うように注意しましょう。

ライブスティッチングは大量の画像データ処理を行うため、画像合成を行う際の推奨動作環境を満たしていないパソコンの場合、ソフトウェアの動作が不安定になる可能性があります(解像度を低く設定することでデータ容量が軽減し、改善する場合があります)。

顕微鏡用USBカメラWRAYCAM-NOA2000・WRAYCAM-CIX2000の最高解像度(約2000万画素)でのライブスティッチングには非常に高いマシンパワーを持つパソコンが必要となり、現在市販されているパソコンでは使用が困難です。上記機種でライブスティッチングを行う場合は、最高解像度以外に設定のうえご使用ください。

8.1.1 スティッチングの開始

Spectman画面上部のツールバー(アイコン群)のスティッチングアイコンをクリックすると、ライブスティッチングが開始されます。

枠内に現在走査・撮影中の箇所が表示されています。顕微鏡のメカニカルステージを使い、試料を移動させていくと、自動的に画像のキャプチャ・合成を行います。

なお、スティッチング中に走査中の枠色が変化する場合があります。各枠色は以下のような状態を表しています。

緑色:ライブスティッチングの撮影・合成が正常に行われています。

黄色:ライブスティッチングが正常に行われていない可能性があります。撮影された画像を確認し、問題がある場合は試料の移動をやり直してください。

赤色:ライブスティッチングが正常に行われていません。

枠が移動しない(枠内の画像だけが動いている)場合、最後にライブスティッチングが正常に行えた箇所まで試料の位置を戻し、再度走査をやり直してください。
※それでもうまくいかない場合は初めからやり直してください。

黄色・赤色のエラーは、多くの場合試料の移動速度が速すぎたり、パソコンの処理速度の不足により起こります。

試料の移動を出来るだけゆっくりと行っていただき、それでも正常に動作しない場合、ご使用のパソコンが推奨動作環境を満たしているかご確認ください。

顕微鏡用カメラ制御ソフトウェアSpectmanのインストール | WRAYMER顕微鏡 テクニカルサポート

WRAYMER製顕微鏡用カメラ(WRAYCAMシリーズ等)制御ソフトウェア”Spectman”のインストール・導入手順の説明です。

http://wraymer.net/manual_spectman/703/

フレームレートを高く調整することでエラーの発生を軽減し、ライブスティッチングをスムーズに行うことが出来ます。

8.1.2 スティッチングの終了

必要範囲を走査し終えたら、再度ツールバーのスティッチングアイコンをクリックすることでライブスティッチングが終了します。

合成された静止画はタブ表示されますので、通常の静止画と同様にファイルとして保存可能です。

8.2 ライブスティッチングの注意点

ライブスティッチングを行う際、以下のような点にご注意ください。

8.2.1. 微動可能なメカニカルステージが必須

エラーを起こさずライブスティッチングを完了する場合、試料の移動スピードや移動方向の正確さが重要となります。

手で直接試料を移動させる顕微鏡(メカニカルステージが無い顕微鏡)の場合、正確かつ低速での試料移動が困難なため、ライブスティッチングの利用に適していません。

8.2.2. 凹凸の激しい試料は不適切

ライブスティッチングの合成はあくまでも水平方向であるため、凹凸の激しい試料では焦点ずれにより連続した試料と判断できない、もしくはところどころ焦点の合わない画像が合成される可能性があります。

8.2.3. コントラストの弱い試料はエラーが起こりやすい

コントラストの弱い試料の場合、ソフトウェアが連続した箇所を判別しづらいため、エラーが起こりやすくなる可能性があります。

顕微鏡の絞り値を調整する等、ライブスティッチングは出来るだけコントラストの高い状態で行ってください。

8.2.4. プレビュー画面の大半を背景が占める試料はエラーが起こりやすい

コントラストの弱い試料と同じく、試料の連続性が判断しづらいため、エラーが起こる可能性が高くなります。

8.2.5. 撮影像の明度が低いものはエラーが起こりやすい

撮影像が暗いもの・輝度の低いものはエラーが起こる可能性が高くなります。

同じ標本・試料を撮影する場合でも、 

このような暗い像を撮影するより

なるべく明度を高くした状態のほうがスムーズにスティッチングが行えます。