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カメラで映した映像に縞模様(モアレ)が生じた場合の原因・対処法

顕微鏡カメラの映像を、モニタやパソコンのディスプレイ上で見た際、撮影像に明暗の横縞模様がかかって見えることがあります。
このような現象を「モアレ」「フリッカー」と呼びます。

本記事では、モアレ・フリッカーの原因と対策をお伝えします。

モアレ・フリッカーが生じる原因

モアレ・フリッカーは、照明光の明滅とカメラの露出時間(シャッタースピード)が同期してしまうことにより発生します。

照明光の明滅および露出時間(シャッタースピード)について、少し詳しく解説します。

照明光の明滅

顕微鏡に搭載されているものも含め、一般的な照明装置・光源は人間の眼には連続的に光っているように見えますが、実際には非常に素速く明滅を繰り返しています。
この「明滅を繰り返す」という特性が、モアレ・フリッカーの原因のひとつとなります。

家庭用コンセント等の交流電源に接続している場合、東日本では50Hz、西日本では60Hzの周波数で電子が供給されています。

この電子の供給の周期で光源は明滅を繰り返します。明滅は周期と等しい、もしくは周期の2倍となるため、光源の明滅は1秒間に100回(東日本)もしくは120回(西日本)起こっているということになります。

露出時間(シャッタースピード)

顕微鏡用カメラの場合、像を取得するタイミングは電子シャッターにより決まります。

電子シャッターをONにし、映像を取得する時間を露出時間としており、露出時間が長いほど多くの光を受けるため明るい像が得られる、という特徴があります。

露出時間は、ms(ミリ秒、1/1000秒)で表されることが多く、その長さにより1秒間の映像のコマ数(フレームレート)に影響します。

例えば、露出時間を50msに設定した場合、1秒間で20回(1000ms÷50ms)の撮像が行われるため、1秒間のコマ数は20コマ(20fps)となります。
フレームレートの数値が大きいほど、より滑らかな映像として現れます。

照明光の明滅と露出時間がモアレの原因となる理由

前述したとおり、例えば東日本では照明光が1秒間に100回の明滅を繰り返しています。

このような明滅が起きている状態で、露出時間を10msに設定した場合、カメラが像を取得するタイミングと照明光の明滅の周期が一致してしまい、映像にモアレ・フリッカーが発生することがあります。

モアレ・フリッカーの種類

モアレ・フリッカーは照明光の明滅とカメラの露出時間(シャッタースピード)の同期により発生しますが、カメラの電子シャッターの種類により、画面上での表れ方が異なります。

センサ―全面を同タイミングで撮影するグローバルシャッターでは、モアレが生じる条件に合致してしまった場合、撮影像全体が点滅します。この場合はモアレ縞は発現しませんが、フリッカーが生じていることになります。

グローバルシャッターは高速移動する物体の撮影時にも像のズレ・歪みが起きづらいものですが、価格面でも高価な仕様となっており、低価格帯の顕微鏡用カメラでは映像の上部から順番に走査(スキャン)を行い撮像する、ローリングシャッター仕様の製品が多くなっています。

ローリングシャッターの場合、水平方向に像をスキャンし、それを画面上部から下部まで繰り返すことで全体像を作りだします。
この際、映像の上部から下部にかけて、スキャンに時間差が生じます。

照明の明滅周期とスキャンのタイミングが重なった際、1列目と2列目、2列目と3列目等、スキャンした列により照明光が明るいときにスキャンした像・暗いときにスキャンした像がそれぞれ出来上がってしまいます。

明るい列と暗い列が交互にスキャンされることで、映像に水平方向の明暗の縞が生じ、これをモアレと呼んでいます。

映像にモアレが出た場合の対処法

映像にモアレが生じるのは、前述したとおり照明光の明滅周期とカメラの露出時間(シャッタースピード)が同期してしまった場合です。

モアレが生じてしまった場合、この「同期している」状態を解消すれば良いのですが、照明光の明滅周期はあらかじめ決まっているため、対処ができるのは露出時間を調整するということだけになります。

露出時間は長短どちらにも調整できる場合がほとんどですが、短くする方に調整しても明滅周期との同期が解消されないケースが多いため、基本的には映像を見ながら露出時間を長く調整することが望ましいです。

また、レイマーの顕微鏡用カメラの制御ソフトウェアの場合、フリッカーレス機能が備わっております。
挙動としては同じく露出時間の調整ですが、50Hz/60Hzの周波数帯を選択いただくだけで、自動的にその周波数帯と同期しづらい露出時間に設定されますので、モアレが生じた際にはお試しいただけますと幸いです。