顕微鏡用接眼レンズについて
顕微鏡用の接眼レンズ(肉眼で覗くためのレンズ)には多数の種類があります。
WRAYMERで取り扱っているものにも複数の仕様があり、顕微鏡の機種や使用目的に応じて選んでいただくことができます。
本記事では、接眼レンズの仕様項目の意味、その選び方について簡単に解説していきます。
接眼レンズの仕様・項目について
接眼レンズの仕様として、主に以下のような情報が公開されています。
倍率
接眼レンズの倍率です。10Xであれば10倍、20Xであれば20倍というように、数値がそのまま倍率を意味しています。
なお、ここでいう10倍とは、接眼レンズを覗いた先の明視距離(250mm先)に仮想のスクリーンがあり、そこに写ったものが本来の10倍の大きさになっている、という意味になります。
高倍率であるほど対象は大きく、見えやすくなりますが、対物レンズの倍率を高めた場合とは異なり、分解能は向上しません。また、高倍率になるほど像は暗くなるため、十分な照明光を確保することが重要です。
視野数
倍率1倍の対物レンズを使用したと仮定した場合に観察できる視野の直径を表しています。10X/20mmの場合、対物1倍では直径20mmが観察できるという意味になります。
実際の視野は対物レンズ倍率により増減するため、10X/20mmの場合、対物4倍であれば視野直径5mm、20倍であれば1mmになります。反対に、低倍率な実体顕微鏡の場合、例えば対物0.5倍の使用時は視野直径が40mmと、記載よりも大きくなります。
嵌め合い径
使用できる対物筒のサイズ、嵌め合い部分の直径を表します。レイマーでは、Φ23.2mm・Φ30mm・Φ30.5mmの3種を取り扱っています。
使用可能なサイズは顕微鏡機種によって異なり、レイマーでは以下のようになっております。
Φ23.2mm | 生物顕微鏡YXシリーズ、BXシリーズ 金属顕微鏡BMシリーズ 実体顕微鏡TW-100 |
Φ30mm | 実体顕微鏡LWシリーズ 金属顕微鏡RM-5400TL 倒立型位相差顕微鏡SXJ-5800TPHL |
Φ30.5mm | 実体顕微鏡TW-180、TW-531 実体顕微鏡SWシリーズ |
他社製顕微鏡に使用する場合は、あらかじめ顕微鏡接眼部の嵌め合い径をご確認ください。
アイポイントの仕様
一般的な接眼レンズは、接眼レンズ上面のレンズと眼を近接させた状態で観察しますが、ハイ・アイポイント仕様の接眼レンズは上面レンズと眼を少し離した位置(レイマーの場合は約15mm)で焦点が合うように設計されています。
これにより、眼鏡を掛けた状態で覗いた場合でも、眼鏡ではなく眼に焦点が合うため、観察時に眼鏡の着け外しが不要となります。
接眼ミクロメーター・レチクルの装着機構有無
接眼レンズの内部に目盛等が描記されたフィルタ(接眼ミクロメーター・レチクル)を装着することで、像に目盛を重ねた状態で観察でき、計測や位置合わせ等に利用することができます。また、アスベスト計数におけるアイピースグレーティクル等、観察方法や目的により仕様が推奨・必須である場合もあります。
この接眼ミクロメーター・レチクルは、接眼レンズ側に装着ができる機構が備わっている場合にのみ使用でき、基本的には倍率10倍の接眼レンズが対象となります。
ただし、10倍の接眼レンズであっても装着機構の有無は製品によって異なり、標準付属接眼レンズで対応可能な場合もあれば、専用の接眼レンズをお求めいただく必要がある場合もあります。
レイマー製品の場合、以下のようになっておりますので、ご検討時にご参考いただけますと幸いです。
標準付属接眼レンズに装着可能 | 実体顕微鏡LW-800シリーズ/実体顕微鏡SW-300シリーズ(※)/実体顕微鏡TW-100/生物顕微鏡YXシリーズ(※)/倒立型位相差顕微鏡SXJ-5800TPHL |
ミクロメーター付接眼レンズが別途必要 | 生物顕微鏡BXシリーズ/金属顕微鏡BMシリーズ/金属顕微鏡RM-5400TL |
装着機構を備えた接眼レンズ用意無し | 実体顕微鏡SWシリーズ(SW-300シリーズを除く) |