ズーム型実体顕微鏡でのキャリブレーション(較正)
現行の顕微鏡用USBカメラUSBカメラWRAYCAMシリーズや、HDMIモニタ・PC対応モデルのFLOYDシリーズに標準付属している制御ソフトウェアには計測機能が搭載されており、対象物の長さの計測や静止画へのスケールバー挿入といった用途に対応しております。
各ソフトウェア取扱説明書 計測機能は以下のリンクボタンから
これらの機能を利用して観察物の大きさを計測する場合、撮影像のピクセル数と実際のサイズとのキャリブレーション(較正)を行う必要があり、また較正は使用する対物レンズごとに必要となっています。
一般的な生物顕微鏡であれば、レボルバに装着されている対物レンズを切り換えながら較正を取ればよいですが、無段階で対物倍率が変更可能な実体顕微鏡LW-820T・実体顕微鏡LW-830Tやビデオズーム顕微鏡XV-440等ではどのように較正を行うのか、本記事で解説していきます。
ズーム倍率ごとのキャリブレーション取得
結論から言うと、キャリブレーションは使用する倍率ごとに必要であるため、極端な話ですとズームダイヤルを回した位置すべてに設定する必要があります。
しかしながら、僅かなハンドル操作の場合、キャリブレーションを設定しても倍率の再現性に乏しい(もう一度同じダイヤル位置に戻すのが難しい)ため、基本的には最高/最低倍率(ダイヤルを回し切った位置)もしくは2x・3xといった目盛が存在する位置でのキャリブレーション設定が望ましいといえます。
※どうしても目盛の無い位置での撮影・計測が必要な場合は、1回のみ使用する前提で撮影とキャリブレーションを同時に行うことで対応可能です。
倍率再現時の誤差は僅か
ズームダイヤルを回し切った状態にできる最高倍率/最低倍率に関しては、基本的に誤差が生じないと考えられるため、キャリブレーション設定後の倍率再現は容易であると言えます。
それでは、中間倍率(目盛のある個所、実体顕微鏡LW-800シリーズでは2倍・3倍等)の場合はどうなるか、ということが気になるかと思います。
本件を弊社にて実際に同じ人物が同じ顕微鏡個体を使用し、目盛位置を目視しながら倍率再現を試みたところ、全く同じ倍率再現の可能性は100%ではありませんでしたが、誤差は1%にも満たず、計測結果に対する影響は殆ど無いと言えます。
もちろん作業者が変わると目盛の見方等によりもう少し誤差が生じる可能性がありますが、同一作業者が同一顕微鏡個体を使用することが前提である場合、目盛位置でのキャリブレーション設定は有効であると言えます。
キャリブレーションに使用する備品
通常、顕微鏡用カメラでのキャリブレーションには対物ミクロメーター(㎛単位の目盛が描記されたスケール)を使用することが多いですが、実体顕微鏡でのキャリブレーションであれば観察倍率自体が比較的低めであるため、mm単位の金属定規等が用いられることもあります。
使用される倍率や、どの単位で計測結果を得られたいかを踏まえ、使用する備品をご検討ください。
レイマー製:対物ミクロメーターB1S10/100