ビット深度の変更が画像に与える影響について
WRAYMERの顕微鏡用ソフトウェア(Microstudio・Spectman)のカメラサイドバーには、画像のビット深度を変更できる機能があります。
上記のビット深度パネルにより、リアルタイムプレビューのビット深度が変更できますが、この「ビット深度」を変更した場合、映像・画像にどのような影響が出るのでしょうか。
本記事では、ビット深度についての概要と注意点について解説していきます。
ビット深度とは
ビット深度は「1ピクセルあたりに割り当てるデータ量」のことを指し、その値が大きいほど色の階調(色表現)が豊かになります。つまり、ビット深度の値が大きいほど、表現できる色が増え、画像の詳細や色のグラデーションが滑らかになります。
ただし、情報量が増加するため、ビット深度の値が大きいほど画像のデータ容量も大きくなります。
ビット深度の違いを分かりやすく確認するため、以下の8ビット・1ビットの画像をそれぞれご覧ください。
グレースケール画像の場合、8ビットでは256色の階調を表現できますが、1ビット画像では白or黒の2色でしか表現されず、グラデーションは確認できません。
カラー画像は光の三原色にそれぞれ色の階調が存在するため、8ビットでは256階調の3乗である16777216色(約1677万色)で表現されますが、1ビット画像では各色に2階調しか存在しないため、2階調の3乗(8色)での表現となります。グレースケールの1ビット画像に比べると情報量は多少多くなりますが、やはりグラデーションはかなり粗く、細かな情報は表現されていません。
MIcroStudio・Spectmanで設定できるビット深度
WRAYMER顕微鏡用カメラ制御ソフトウェアMIcroStudio・Spectmanの「ビット深度」機能では、初期設定の8ビットのほか、機種により10ビットもしくは12ビットの設定が可能です。
これらのビット深度は、リアルタイムに表示されているプレビュー像のビット深度ですが、設定しているビット深度により、静止画・動画として保存した画像の色調にも影響します。
8ビット・10ビット・12ビットの色情報の違い
WRAYMER顕微鏡用カメラ制御ソフトウェアMIcroStudio・Spectmanで設定できるビット深度の色情報は、以下のような違い・差分があります。
- 8ビット:各色チャンネル(RGB)に対し、256(8ビット|2^8 = 256)の異なる輝度レベルが表現できます。カラー画像の場合、RGBで表現できる色の上限は合計で約1677万色(256 × 256 × 256)です。
- 10ビット:各色チャンネル(RGB)に対し、1024(10ビット|2^10 = 1024)の異なる輝度レベルが表現できます。カラー画像の場合、RGBで表現できる色の上限は合計で約10.7億色(1024 × 1024 × 1024)です。。
- 12ビット:各色チャンネル(RGB)に対し、4096(12ビット|2^12 = 4096)の異なる輝度レベルが表現できます。カラー画像の場合、RGBで表現できる色の上限は合計で約687億色(4096 × 4096 × 4096)です。
WRAYMER顕微鏡用カメラ 各機種のビット深度
WRAYMERでは、同じソフトウェア(MIcroStudio・Spectman)を使用する顕微鏡用カメラを複数取り扱っておりますが、選択・設定可能なビット深度の種類はカメラ機種により異なります。
- USBカメラWRAYCAM-NOA630B:8ビット、10ビット
- USBカメラWRAYCAM-NOA2000:8ビット、12ビット
- USBカメラWRAYCAM-VEX230M:8ビット、12ビット
- USBカメラWRAYCAM-VEX830:8ビット、12ビット
- USBカメラWRAYCAM-VEX120:8ビット、12ビット
- USBカメラWRAYCAM-EL310:8ビット ※
- USBカメラWRAYCAM-EL510:8ビット ※
- USBカメラWRAYCAM-CIX832:8ビット、12ビット
- USBカメラWRAYCAM-CIX2000:8ビット、12ビット
- USBカメラWRAYCAM-LEO310:8ビット、12ビット
- マルチインターフェース4KカメラFLOYD-4K:8ビット ※
- HDMI・EthernetデジタルカメラFLOYD-2A:8ビット ※
※USBデジタルカメラWRAYCAM-ELシリーズ、HDMI・EthernetデジタルカメラFLOYD-2A、マルチインターフェース4KカメラFLOYD-4Kについては、初期設定の8ビットのみでご利用いただけます(ビット深度パネルが表示されません)。
ビット深度設定についての注意点と利点がある用途
前述したとおり、ビット深度が深い(値が大きい)映像は豊富な色表現が可能ですが、パソコン等のディスプレイ上で映像・画像を確認する場合、ディスプレイ側の対応可能なビット深度にも注意が必要です。
一般的なディスプレイは8ビットのものが多く、仮にソフトウェアの設定を10ビット・12ビットで撮影を行った場合でも、ディスプレイ側が表現しきれないといったことがあります。
高いビット深度を撮影できるカメラと10ビット・12ビットをサポートするディスプレイと組み合わせることで、より高い色再現性の画像を撮影することができますが、このような環境を構築することが難しい場合でも、以下のようなケースで利点があります。
- 写真印刷:家庭用プリンタを使用する場合、ディスプレイと同じく対応するビット深度に依存いたしますが、印刷業者等で写真印刷を行うような場合、ビット深度が深いほどより豊かな色表現の写真印刷が望めます。
- データ抽出:画像をただ画像として目視するだけでなく、各ピクセルの色情報や輝度レベルをデータとして抽出されたいような場合、ビット深度が深いほどより多くの情報が得られます。