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微光イメージング時の冷却機能の要否と使用する目安

非常に微弱な蛍光試料等を撮影するような、いわゆる微光イメージングの場合、冷却機能が備わったカメラの使用が推奨されることがあります。

本記事では、微光イメージングにあたっての冷却機能の要否とその目安について解説していきます。

冷却機構の効果(熱ノイズの抑制)

微光イメージングの場合、非常に光量の乏しい標本を撮影するため、微弱な光にも反応できる高感度なセンサーが必要になります。
それでも輝度が不足する場合、カメラの露出時間を長くする(シャッタースピードを遅らせる)ことで光量を確保し、撮影像をより明るくすることが可能です。

このとき、露出時間を長くするほど(シャッタースピードを遅くするほど)得られる光量が増加し、撮影像は明るくなりますが、シャッターを開き続けることによるデメリットとして熱ノイズが生じます。
熱ノイズはホットピクセル・暗電流とも呼ばれ、シャッターを開き続けることによりセンサーが熱を持ち、その熱によるセンサーピクセルの誤動作(光を受けていない箇所のピクセルであるのに、何らかの光を受けたかのように発色させてしまう)が生じることを指します。
この熱ノイズの原因となっているセンサーの発熱を冷却することで抑制するのが冷却機構です。

そのため、冷却機能自体は「微弱な光量の標本を撮影するためにある」というものではなく、「光が微弱であるために長時間露出が必要となり、それに伴い発生する熱ノイズを抑制する」という効果を得るものになります。
微光イメージングにおいて有用な効果ではありますが、それは直接的ではなく間接的に作用するものということになります。

冷却機能要否の目安

前述のとおり冷却機能は熱ノイズの抑制に有用ですが、常時動作させている方が良いかというとそうではありません。
熱ノイズの抑制に効果があるということは、熱ノイズが発生していない場合には特に必要ではないということになります。

この熱ノイズが発生しうる条件、冷却機能を使用することで効果が得られる条件の目安としては、概ね5分以上の長時間露出を行った場合が該当します。これよりも露出時間が短い場合、冷却機能による熱ノイズの抑制効果をあまり感じられない可能性があります。

冷却機能付カメラ(USBカメラWRAYCAM-CIX)を選ぶ基準

本記事の内容を踏まえ、冷却機能付カメラ(USBカメラWRAYCAM-CIXシリーズ)を選ぶ基準は「長時間露出を行うかどうか」という点になります。

ただし、冷却機能の効果自体は5分以上の露出時間が目安となりますが、非冷却モデルでは長くても60秒の露出時間が最長であるため、5分未満であっても長めの露出時間が必要な場合はUSBカメラWRAYCAM-CIXシリーズをお選びください。

実際に観察されたい試料に対しどの程度の露出時間が必要かについては、貸出デモ機にてご確認のうえ検討いただくことをおすすめいたします(※デモ機お貸出は法人のお客様に限ります)。