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カラーカメラのモノクロモードとモノクロカメラの違い

顕微鏡用カメラには、レイマーが取り扱っているものだけでも様々な機種がありますが、大きな区分としてカラー撮影ができるカラーカメラと、モノクロ(グレースケール)撮影用のモノクロカメラがあります。

現状、使用される顕微鏡用カメラはカラーカメラが多くなっており、また多くのカラーカメラではモノクロ撮影モードを搭載しているため、カラーカメラを使用すればカラー画像・モノクロ画像のどちらの撮影も可能です。

そのような現状において、モノクロカメラを使用するメリットはあるのでしょうか。

本記事では、カラーカメラによるモノクロ撮影モードとモノクロカメラでの撮影の違いについて解説します。

カラーカメラの仕組み

まず、前提としてカメラのイメージセンサーにはカラー・モノクロという違いはなく、すべてモノクロのセンサーです。モノクロセンサーでは、光の強度(明るさ)のみを取得し、電気信号に置き換えます。

カラーカメラの場合は、このモノクロセンサーの前に色情報を得るためのカラーフィルタ、ベイヤーフィルタが搭載されています。ベイヤーフィルタを通過する光は、以下のようなイメージになります。

ベイヤーパターンの例

このように、イメージセンサーの各ピクセルにはR・G・Bそれぞれのフィルタが配置され、その色に対応したフィルタを通過した際の光の強度をイメージセンサーが得ることで、色情報を取得しています。
なお、ベイヤーフィルタの色配置(ベイヤーパターン)は統一されているものではなく、イメージセンサーにより異なります。

もちろん、ベイヤーフィルタの情報だけでは全ての色情報を再現することは出来ないため、周囲のピクセルから色情報を補完し、カメラやソフトウェアの変換アルゴリズムに則ってカラー画像化を行います。

カラーカメラで撮影した像の画像化・映像化は、上記のような処理を経たものとなっています。

モノクロカメラによる撮影

モノクロカメラの場合、カラー撮影を前提としていないため、前述したベイヤーフィルタがセンサーの前に存在しません。

そのため、モノクロカメラのイメージセンサーはカラーフィルタを透過していない光をそのまま受けられることになり、カラーカメラよりも量子効率の面で優位といえます。

カラーカメラのモノクロモード撮影

カラーカメラでモノクロ撮影を行う場合、カメラとしてはベイヤーパターンを透過した光(≒カラー映像)を取得しているため、「カラー画像から色情報をマイナスして表示している」というような状態になります。

つまり、カメラのイメージセンサーが受光している強度はカラー画像と同じで、人間が見たときの視覚的な部分でのみモノクロ化しているということです。

モノクロカメラ・カラーカメラのモノクロモードの違い

両者の違いについては、以下が挙げられます。

  • モノクロカメラはカラーフィルタが無い分量子効率の面で優位
  • カラーカメラのモノクロモードは視覚的にモノクロに表示しているだけであり、量子効率はカラーモードと変わらない

単純に「モノクロに見える画像が必要」ということであればどちらの方法でも問題ないですが、カラー撮影よりも高感度・高量子効率を期待する場合は、ベイヤーフィルタの無いモノクロカメラを使用する必要があります。

なお、ベイヤーフィルタは着け外しができるようなものではないため、モノクロカメラを導入してから必要に応じてカラーカメラ化する、ということはできません。カラー画像が必要な場合は、カラーカメラを導入しましょう。