顕微鏡用カメラ解像度の違いを比較
レイマーでは顕微鏡用カメラを複数機種扱っており、その解像度は機種によってさまざまです。
高解像度であるほど、大判の用紙に印刷した場合の印刷解像度が保てることや、デジタルズームを使用した際の画像劣化(解像度の低下)が抑えられるといったメリットがありますが、実際にはどの程度の差が生じるのでしょうか。
本記事では、同じ試料を撮影した場合に、解像度が異なることでどの程度の差が生じるかを比較していきます。
使用した機材
今回の比較検証に使用した機材・試料は以下のとおりです。
- 顕微鏡:生物顕微鏡BX-2700TL
- 対物倍率:10倍
- カメラ:USBカメラWRAYCAM-NOA2000
- 試料:ブタ精巣 HE染色標本
USBカメラWRAYCAM-NOA2000の各解像度(3段階)で撮影・比較する
USBカメラWRAYCAM-NOA2000は、解像度を高解像度(5440×3648)・中解像度(2736×1824)・低解像度(1824×1216)の3段階で切り換えられます。今回は、当該機種の解像度のみを切り換え、同じ対象物を撮影して比較します。
各解像度設定で撮影した画像
各解像度で撮影した画像です。
2000万画素(5440×3648)
最も高解像度で情報量の多い画像です。それに伴い、データ容量も大きくなっています。
500万画素(2736×1824)
中間の解像度です。データ容量・解像度のバランスが良く、リアルタイムプレビュー時に高いフレームレートが得られます。
210万画素(1824×1216)
低解像度ですが、フルHD(200万画素)以上の解像度を持っています。データ容量が小さく、高いフレームレートが得られ、静止画・動画ファイルともにストレージを圧迫しづらくなります。
各解像度の比較
比較のため、各画像を横並びにしています。なお、画像の解像度は高解像度に合わせており、中解像度・低解像度画像は拡大表示されているような状態です。
モニタ上で見る限りでは、大きな差が感じられない場合がほとんどだと思います。
これは一部の高解像度モニタ(4K・8Kモニタ等)を除き、一般的なフルHD解像度のモニタで閲覧する場合、いずれの解像度もフルHD解像度(200万画素)を超えており、モニタ側が超過した解像度を表現できないため、どの解像度を選択していても表示上に違いが表れないためです。
このことから、モニタ上で閲覧する場合、カメラの解像度と併せてモニタの解像度も重要となることが分かります。
モニタの解像度がフルHD程度までであれば、USBカメラWRAYCAM-NOA2000を使用する場合、どの解像度設定にしていても差は感じられない、ということになります。
各解像度の画像をデジタルズームで拡大した場合
では、モニタ上に表示する限り、解像度設定は特に意味が無いのでしょうか。
次に、各画像をデジタルズームで拡大して見てみましょう。
2000万画素(5440×3648)デジタルズーム
高解像度の画像をデジタルズームで拡大しています。当然、拡大するほどに解像度は低下しますが、もともと高い解像度があり多くの情報を持っているため、拡大しても細部がつぶれずに表示されます。
500万画素(2736×1824)デジタルズーム
中解像度のデジタルズーム拡大像です。高解像度に比べると解像度の不足によりコントラストがつかない部分が多くなっています。
210万画素(1824×1216)デジタルズーム
低解像度のデジタルズーム拡大像です。前出の2つに比べると、明らかに細部の情報が少なく、つぶれてしまっている箇所が見受けられます。
各解像度の比較(デジタルズーム)
デジタルズームで拡大した像を、並列で表示しています。解像度は高解像度に合わせており、他の2画像は拡大表示されている状態です。
並べて見るとその差は顕著で、解像度が低くなるにつれて細部の情報が少なくなっていることが分かります。
このようなデジタルズームでの拡大を行う場合、低解像度で撮影した画像では正確な情報が得られない場合があります。
通常の撮影像だけで考えれば、モニタ上での閲覧のみの場合には特に不要であるといえますが、このように撮影時もしくは撮影後にデジタルズームを用いて細部の確認をするような用途では、情報量の多い高解像度画像を撮影する意味が大きくなります。
印刷解像度について
モニタ上の閲覧だけでなく、撮影した画像をプリントアウトする場合、解像度の持つ意味はより大きくなります。
低解像度の画像を大判サイズに印刷した場合、デジタルズームで拡大した場合と同じように細部の情報が少ない画像が引き伸ばされてしまうことになります。
そのため、大判印刷を行う場合は、なるべく高解像度の画像を用意することが望ましいと言えます。
カメラの機種を選ぶ際や、解像度設定を行う際、ご自身の用途においてデジタルズームやプリントアウトがどの程度必要であるかを考慮いただいたうえで選定することをおすすめします。