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位相差顕微鏡で明視野観察をする方法

位相差顕微鏡は、コンデンサに備わった環状絞りと対物レンズ内の位相板を使った光の位相のずれを利用し、無色透明な対象物に明暗のコントラストを付けて観察するための顕微鏡です。

WRAYMERの位相差顕微鏡は、コンデンサがターレット式になっており、複数の環状絞りを切り換えられる構造です。対物レンズごとに適切な値に設定することで、複数の倍率での位相差観察に使用できるほか、「0」位置で使用することで位相差観察ではなく明視野観察に使用することができます。

位相差顕微鏡BX-2708TPHLでの明視野観察方法

本記事では、正立型の位相差顕微鏡BX-2708TPHLで手順を解説いたしますが、レイマーの他の位相差顕微鏡でも手順や考え方は同様です。

1. ターレットコンデンサ正面の値を「0」に合わせる

位相差顕微鏡は、前述のとおり環状絞りと位相板という2つのスリットを介することでコントラストを得る顕微鏡ですが、2つのスリットが適切に揃わない場合は位相差観察にはなりません。

つまり、対物レンズの倍率に合わせる必要があるターレットコンデンサ正面の数値を、その倍率にも該当しない「0」にすることで、明視野観察と同様の状態になります。

なお、位相差顕微鏡BX-2708TPHLで明視野観察を行うために必須となる手順はこれだけです。以降は、より良い像を得るための補足的な項目になります。

2. コンデンサ開口絞りを適性値に調整する

ターレットコンデンサの数値を「0」に合わせた場合、位相差観察時とは異なりコンデンサ開口絞りが使用可能です。

コンデンサ開口絞りは、開放するほどに解像力が高く、絞り込むほどにコントラストが高まる効果がありますが、開放状態ではコントラストが不足したり、絞り込みすぎると解像力の不足や標本の不要な汚れや異物が映り込んでしまうことがあります。

至適開口数(もっとも解像力・コントラスト等のバランスの良い状態)に調整する場合、接眼レンズを取り外し、接眼筒を覗き込んだ際に見える対物レンズの瞳の径に対して70~80%程度の開口になるようにします。

詳しくは顕微鏡本体(生物顕微鏡BX-2700TL)の取扱説明書にも記載があるので、ご参考ください。

3. 明視野用対物レンズを使用する

位相差用対物レンズであっても、ターレットコンデンサを「0」に設定していれば明視野観察は可能です。ただし、位相差対物レンズには内部に位相板が備わっており、厳密には明視野観察用のレンズではないため、明視野専用の対物レンズと比べると僅かに像クオリティは落ちることがあります。

より良い明視野像を得られたい場合は、明視野専用の対物レンズに入れ替えてご利用ください。

なお、位相差観察と明視野観察を頻繁に切り換えて行うような場合は、対物レンズの交換がかなり手間になってしまうので、位相差対物レンズを使用したほうが利便性は高いと考えられます。