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有限遠補正光学系と無限遠補正光学系の違い

光学顕微鏡は大きく分けて有限遠補正光学系と無限遠補正光学系というふたつの光学系があり、それぞれに異なった特徴があります。

本記事では、これらの違いについて簡単に解説していきます。

ふたつの光学系で見え方は違うのか

有限遠補正光学系と無限遠補正光学系を比べた際に、例えば同じ倍率・開口数の対物レンズであっても無限遠補正光学系のほうが良く見えるのではないか?というような問い合わせをいただくこともありますが、そのようなことはありません。

顕微鏡の分解能は対物レンズの倍率・開口数によって決まるため、これらのパラメータが同じであれば、有限遠補正光学系と無限遠補正光学系のどちらの顕微鏡・対物レンズを使って観察した場合でも見え方に差は生じません。

有限遠補正光学系と無限遠補正光学系の大きな違い

有限遠補正光学系の大きな違いは、観察像を結像する際の仕組み・構造です。

有限遠補正光学系は対物レンズだけで結像する構造になっており、機械的鏡筒長(レイマーの場合は160mm)が同じ顕微鏡で使用すると仕様どおりの倍率・作業距離の対物レンズとして使用できますが、この機械的鏡筒長が異なる顕微鏡に取り付けた場合、倍率や作業距離が異なってきます。

無限遠補正光学系は、対物レンズだけでは結像せず、顕微鏡内に平行光を送り、顕微鏡内の結像レンズにより像を結びます。対物レンズもしくはメーカーにより、想定される結像レンズの焦点位置は異なりますが、使用自体は可能です。
結像レンズの焦点位置が異なる顕微鏡に取り付けた場合、倍率が本来の仕様と異なることがあります。

上記のとおり、ふたつの光学系の大きな違いは結像の仕組みであり、機械的鏡筒長、つまり顕微鏡の対物レンズ取付部(胴付)から接眼レンズの取付部までの長さがレンズ仕様に大きく影響する有限遠補正光学系の場合、例えば鏡筒と本体の間にレーザー照射器や特殊な照明ユニット等を追加することは出来ません。
鏡筒と対物レンズが本来の距離よりも大きく離れてしまうと、倍率や作業距離が大きく異なってしまうからです。

これに対し、平行光を顕微鏡に送る無限遠補正光学系であれば、結像レンズと接眼レンズ(もしくはカメライメージセンサー)の位置関係に変化がなければ、鏡筒と顕微鏡本体の間に照明ユニット等の機器を中継しても特に問題ありません。

どちらの光学系のレンズを使えばよいか

前述のとおり、光学系の違いは結像方式の違いであるため、観察物や目的に合わせてどちらを選ぶ、といった性格のものではありません。

使用する顕微鏡が有限遠補正光学系の場合は有限遠補正光学系対物レンズを、無限遠補正光学系の顕微鏡の場合は無限遠補正光学系対物レンズをお選びください。

顕微鏡の光学系の確認方法

使用する顕微鏡の光学系が不明な場合、もちろんメーカーに問い合わせて確認するのが確実ですが、使用中の対物レンズの側面にある印字からも確認可能です。

使用中の対物レンズが有限遠補正光学系の場合、対物レンズ側面に「160」等、機械的鏡筒長の値が印字されています。無限遠補正光学系の場合は、対物レンズ側面に「∞」が印字されていますので、これらを確認することで顕微鏡の光学系を判断できます。