ズーム型顕微鏡での計測誤差について
WRAYMERの顕微鏡用カメラの制御ソフトウェアには計測機能が標準装備されており、既知の長さのものを使用してキャリブレーションを行うことで簡単に距離や大きさのサイズ計測が出来るようになっています。
キャリブレーション(較正)は、画面上のピクセル数に対する実際の長さを設定する作業であり、顕微鏡の対物倍率が変更になれば相対的に実サイズが変化するため、対物レンズ倍率ごとに行う必要があります(キャリブレーション設定値は複数保存可能です)。
生物顕微鏡等、レボルバで段階的に対物倍率を切り換える仕様の顕微鏡では特に問題ないように思えますが、無段階で対物倍率が切り替わるズーム型の実体顕微鏡等の場合、一度較正を取得した対物倍率を再現することは可能なのでしょうか。
最大倍率・最小倍率は誤差が生じない
当然のことではありますが、無段階であってもズームダイヤルを回し切った位置にある倍率、つまり最大倍率時と最小倍率時には、ここで懸念されるようなキャリブレーション設定時と違う目盛位置になってしまうことによる倍率誤差は生じません。
同一人物・同一機材であればほぼ誤差は出ない(目盛のある倍率)
目盛りのある中間倍率、例えば実体顕微鏡LW-820の2倍・3倍といった位置ではどうでしょうか。
こちらも実際に検証してみましたが、目盛位置を目視で合わせた場合でも、誤差はほとんど出ませんでした(僅かな誤差は生じていますが、計測結果に対して1%未満程度でした)。
もちろん、目線の高さや目盛がどの位置にあれば同じと感じるか、といった主観による誤差は起こり得るため、使用する人が異なる場合にはより大きな誤差が生じる可能性はあります。また、同じ倍率であっても顕微鏡の個体や機種が変わると再現は難しいため、あくまでも同じ顕微鏡を同じ人物が使った場合に限られるかと思います。
より正確な計測の場合、キャリブレーションから計測まで一貫で行う
当然ながら、前述の1%の誤差も生じさせたくない、可能な限り正確な値を必要とするケースや、再現が難しい目盛の無い倍率での計測が必要となることもあります。
そのような場合は、倍率の再現自体を不要とするため、観察する倍率にてキャリブレーションを行ったら、倍率変更を行わずに観察・計測までを一貫して実施することで対応可能です。