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カメラ撮影時のフレームレートの目安について

顕微鏡用カメラは製品により様々な仕様になっていますが、その中の最大フレームレート(fps)は像追随性に影響します。
本記事では、フレームレートの目安について解説していきます。

像追随性とは?

像追随性、つまり像(観察対象)に追随する(ついていく)性能ということになりますが、平たく言うと「どれだけなめらかな映像が撮影できるか」という能力です

フレームレートと像追随性の関係

像追随性が高い=滑らかな映像が得られるということではありますが、ではどのような状態が「像追随性が高い」といえるのでしょうか。この場合に注目すべきパラメータがフレームレートです。

フレームレートはfps(Frame per second)、つまり1秒間の撮影フレーム(コマ)数を表しています。

映像は、パラパラマンガのように複数のコマを連続して見ることで像が動いているように認識しています。この時のコマの数が多ければ多いほど、滑らかな動きに見えます。

例えば、1秒間で1周するものを撮影した場合、1秒間に6コマの映像と23コマの映像では以下のような違いが生まれます。

6fpsのイメージ
23fpsのイメージ

6fpsでは1秒間で1周するオレンジ色の球を6コマしか撮影していないため、コマとコマの間に存在する中間位置の情報は得られず、突然大きく移動したような印象になります。また、静止した対象が動き出したような場合にも、1コマ目を撮影するまでの間は情報が得られないため、低fpsでプレビューしていると、本来の動きと映像の動きにラグが生じて見えます。

23fpsでは球が1周する間に23回の情報が更新されるため、6fpsよりも連続した動きに感じられ、より滑らかな映像として見えます。静止対象の動き出しに対するラグも軽減され、実際の動作と映像の違和感が少なくなります。

フレームレートの目安

カメラ機種によっては100fpsを超えるプレビューフレームレートが得られるものもありますが、実使用においてどの程度のフレームレートを必要とするのでしょう。

もちろん使用方法や使用目的にもよるため一概には言えませんが、標本の動きに対するラグが無い、滑らかな映像であると認識できるかどうかを基準にするのであれば、概ね25~30fps程度が目安となります。

30fpsはテレビ放送やDVDビデオのフレームレートであり、経験上この程度であれば「なめらかな映像である」と認識される方は多いかと思います。

最大フレームレート=実際のフレームレートではない

最大フレームレートはあくまでも上限値であり、実際のフレームレートは上限値のほか露出時間の影響を受けます。

露出時間=シャッターを切るスパンであり、長くなるほど多くの光量が得られますが、映像のフレーム数は減ることになります。
上限フレームレート・露出時間・実際のフレームレートの関係は、以下の例のようになります。

例)最大フレームレート50fpsのカメラを使用した場合

  • カメラの性能上の上限:50fps
  • 露出時間100msで使用した場合の上限:10fps(露出時間がボトルネックになる)
  • 露出時間33msで使用した場合の上限:30fps
  • 露出時間20msで使用した場合の上限:50fps
  • 露出時間10msで使用した場合の上限:50fps(最大フレームレートがボトルネックになる)

もちろん上記例以外にも、使用しているPCの処理速度等が影響を及ぼすこともあります。

滑らかな映像(25~30fps程度)の映像を見られたい場合、以下の条件でカメラを使用する必要があります。

  • 最大フレームレートが25~30fps以上のカメラを使用する
  • 露出時間を30~40msに設定する(短時間露出で撮影可能な照明光量を確保する)
  • USB3.0対応やGPU等、処理速度が十分なPCを使用する