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観察像の一部が欠けている場合(ケラレ)の対処方法

顕微鏡での観察時、像の一部に欠けや影のようなものが見えることがあります。

本記事では、このような視野欠け(ケラレ)のよくある原因と対処法について解説していきます。

接眼レンズの観察視野が欠ける場合

接眼レンズを肉眼で覗いて観察している際、視野にケラレが生じるケースです。

1. 視野の半分が暗くなっている

視野の半分程度の領域が暗く影になっているような場合で、このようにレモン型に視野が狭められているケースが多いです。

考えられる原因:光路切換つまみが中途半端な位置で止まっている

上記のような場合、多くは光路切換つまみの操作不良が原因です。

光路切換つまみ

機種・製品により使用は異なりますが、上記製品のようにレバー引き出し式になっている場合、押し込み・引き出しが中間の位置になってしまっていると、光路切換機構の影が視野に映り込んできます。

対処法:光路切換つまみを最後まで操作する

光路切換つまみの操作不良である場合、つまみを最後まで操作すれば解消されます。

上記の弊社位相差顕微鏡BXシリーズの場合、接眼レンズ観察時は最後まで押し込み、カメラ撮影時(三眼鏡筒使用時)は最後まで引き出します。
※つまみは押し引きのみで操作します。取り外さないようにご注意ください。

2. 視野に異物が映り込む

像に何らかの異物が映り込んでくるような場合です。

考えられる原因:標本の汚れ

カバーグラスが汚れている等、標本自体に問題があるケースがあります。観察位置を移動させる等、同じ個所から汚れが動かないか確認しましょう。

標本を移動させた際、汚れも一緒に動いていく場合、標本に汚れがあるということになります。

考えられる原因:接眼レンズ

接眼レンズが汚れている場合、観察像に映り込んでくることがあります(高倍率での観察であるほど目立ちます)。観察を行いながら接眼レンズを回転させ、同心円状に汚れが移動するようであれば、接眼レンズに問題があります。

対処法:標本・接眼レンズを清掃する

原因を確認したら、標本もしくは接眼レンズを清掃します。

大きな埃等であれば、エアダスター・ブロワー等で風を送って除去します。

細かな塵や指紋等の場合、アルコールを軽く含ませたレンズペーパー等を使って、カバーグラス表面や接眼レンズ表面を清掃しましょう。

3. 視野の辺縁部に影ができている

視野の外周付近に暗く影が主事ているような場合です。

考えられる原因:鏡筒・接眼筒の位置不良

顕微鏡の鏡筒部のみを取り付けなおした・入れ替えたような場合、本来の設置位置とずれて取り付けてしまっていることが原因で光路の一部が制限され、ケラレとして現れることがあります

考えられる原因:顕微鏡・対物レンズに対して接眼レンズの視野数が大きすぎる

顕微鏡は、機種や対物レンズの設計により、最大で得られる視野の広さが異なります。

視野数が異なっている接眼レンズであっても、その他光学仕様に問題が無ければ使用できることが多いですが、顕微鏡の視野数よりも接眼レンズの視野が広い場合、顕微鏡が像を作ることが出来ない辺縁部は黒くケラレて見えてしまうことが考えられます。

対処法:正しい視野数の接眼レンズを使用する、修理を依頼する

視野数の不一致が原因の場合、正しい視野数の接眼レンズ(標準付属品等)を使用することで改善されます。

鏡筒の位置不良については、鏡筒部のみを載せ替えた場合は再調整を試してみましょう。購入直後に問題が生じているような場合や、落下等の衝撃を与えた結果不良が生じたような場合、お客様での対応が難しい可能性があります。

このような場合、レイマー製品であればまずは弊社までお問い合わせください。修理等の対応についてお知らせいたします。

カメラ撮影像に欠けがある場合

顕微鏡用カメラ等を接続しての撮影時、撮影像に欠けが生じるような場合です。

1. 撮影像の四隅・辺縁部にケラレが生じる

撮影像の四隅に上記のような欠け(ケラレ)が生じる場合です。

考えられる原因:カメラのセンサーサイズに対してCマウントアダプタ倍率が低すぎる

上記のような症状は、カメラのセンサーサイズに対して使用しているCマウントアダプタの倍率が低すぎる場合に生じます。適切な倍率の考え方について、詳しくは以下の記事をご参照ください。

対処法:適切な倍率のCマウントアダプタを使用する

上記記事を参照いただき、適切な倍率のCマウントアダプタを使用することで改善されます。

顕微鏡の光束が広い場合や、使用しているCマウントアダプタのレンズ口径が大きい場合には、低倍率であってもケラレが生じないこともあります。ただし、カメラや顕微鏡の機種から光束やレンズ口径の情報を得ることは出来ないため、「ケラレが生じるかと思って使用してみたら問題が無かった」という類のものであり、基本的には適切な倍率のアダプタを使用することをおすすめいたします。

2. 撮影像に異物が映り込む

カメラ撮影像に何らかの異物が映り込む場合です。

考えられる原因:標本の汚れ

接眼レンズ観察時と同じく、標本に汚れがある可能性があります。

標本を移動させてみて、汚れがそれに合わせて動くかどうか確認しましょう。

考えられる原因:カメラセンサー面・Cマウントアダプタの汚れ

カメラのセンサー面(フィルタ面)や、接続に使用しているCマウントアダプタのレンズに異物がある場合、像に映り込んでくることがあります。

対処法に関しては別記事で紹介しておりますのでご参照ください。