観察像のコントラストを高めたい
顕微鏡での標本観察時、特に濃淡のあまりない淡い対象物であったりすると、なるべくくっきりとしたコントラストの強い像を求めることが多いかと思います。
本記事では、顕微鏡観察時の基本的なコントラストの高め方・強め方を解説します。
顕微鏡の開口絞りを絞り込む
接眼レンズ観察時・カメラ撮影時のいずれでも効果が見込める最も基本的な方法は、顕微鏡の開口絞りを絞り込むことです。
顕微鏡によっては、照明光を集光し、狭い範囲により強い光を照射するためのコンデンサが備わっており、コンデンサには集光照射範囲を調節するための開口絞り(コンデンサ絞り)が備わっていることが多くあります。
コンデンサの開口絞りの調整は至適開口数という値があり、対物レンズの光束に対して80%程度の範囲に調整することで解像力とコントラストのバランスの良い像が得られますが、単純にコントラストのみを高めたい場合は開口絞りを出来るだけ絞り込むようにします。
また、開口絞りを絞り込むほどに被写界深度も深くなるため、僅かな凹凸によりピントが合いづらい標本であっても観察しやすくなる場合があります。
ただしデメリットもあり、開口絞りを絞り込むほどに分解能(解像力)は低下するため、絞りを開いていた時には見えていた微小な個所が絞り込むことにより見えなくなることがあります。
照明機器や照明方法を変更する
実体顕微鏡のような外部照明を利用している場合、標本の直上から照射するリングライトでは見えづらいものが、水平方向の照明に変更することでコントラストが高まり判別しやすくなる、といったことがあります。
また、リングライトでも分割点灯できるモデルや、斜め方向から照射できるスポットライト等を用いることで像に陰影が付き、異物の検知がしやすくなるといったケースもあります。
照明自体を変更しなくても、顕微鏡に取り付けて使用していたリングライトを取り外し、側方から照射することで改善がされたりと、照明の方向や種類を工夫することは重要です。
ソフトウェアのコントラストを調整する
前述の方法を用いたうえで、さらにカメラでの撮影像に対してコントラストを求める場合、ソフトウェアのコントラストの値を高く設定することで改善されることが多くあります。
ただし、コントラストの値を過剰に高く設定してしまうと像が暗くつぶれてしまうこともあるため、プレビュー像を確認しながら、コントラストやガンマ等の値をバランスよく調整すると良いでしょう。