WRAYCAM-NOA2000N+CマウントアダプタユニバーサルタイプGCシリーズ使用時の撮影範囲イメージ
WRAYCAM-NOA2000Nは、顕微鏡用カメラでは大型の1インチセンサー(撮像素子)を搭載し、広い撮影範囲が得られるという利点があります。
センサーサイズの小さいカメラでも、縮小光学系レンズが入ったアダプタを併用することで広角撮影は可能ですが、アダプタが高価であったり、レンズ等の光学系が増えることで像のクオリティが低下する恐れがあります。その点で、光学系レンズの無い等倍アダプタでも広い撮影範囲が得られるUSBカメラWRAYCAM-NOA2000Nは優位といえます。
また、USBカメラWRAYCAM-NOA2000Nと縮小光学系レンズを内蔵したアダプタを併用することで、大きくケラレてはしまいますが、接眼レンズ視野を内包する撮影範囲を得ることが可能です。
本記事では、USBカメラWRAYCAM-NOA2000NとCマウントアダプタユニバーサルタイプGCシリーズの各倍率を組みあせた際の撮影範囲や撮影像の違いについて解説します。
WRAYCAM-NOA2000NとCマウントアダプタユニバーサルタイプ倍率における撮影範囲比較
実際にWRAYCAM-NOA2000Nを使用して撮影した際の倍率による撮影範囲の違いを記載します。
なお、今回の撮影はOlympus CX43三眼鏡筒タイプにCマウントアダプタCMOL-100、Cマウント変換アダプタCMT232、GCシリーズを介してWRAYCAM-NOA2000Nを接続して行っています(対物レンズ倍率:10倍)。
1. 接眼レンズ(視野数20)の視野

標準仕様の接眼レンズ(視野数20)を覗き込んだ際の視野はこのようになります(接眼レンズからのコリメート撮影)。
対物レンズ倍率10倍のため、0.1mmの目盛が20目盛(2.0mm)、接眼レンズ視野内に映り込んでいます。
この接眼レンズからの視野を基準として、Cマウントアダプタユニバーサルタイプの各製品により撮影範囲にどのような違いがあるかを見ていきましょう。
2. WRAYCAM-NOA2000N+GC100(1倍)

CマウントアダプタユニバーサルタイプGC100(1倍)を介して三眼鏡筒に接続した場合の撮影範囲です。
撮影像四隅まで撮像できており、USBカメラWRAYCAM-NOA2000Nの高解像度が有効に活用できています。
長辺1.21mm(対角1.45mm)程度の撮影範囲も確保できており、接眼レンズ視野の対角比で75%程度の広さの像が得られます。
接眼レンズ視野の辺縁部に近い箇所に見えていたものを同じ撮影範囲内に含めることはできませんが、中心付近の対象物の撮影や、解像度をフルに使用した撮影に適しています。
3. WRAYCAM-NOA2000N+GC075(0.75倍)

CマウントアダプタユニバーサルタイプGC075(0.75倍)を介して三眼鏡筒に接続した場合の撮影範囲です。
長辺1.61mm程度の撮影範囲があるため比較的広角に撮影できていますが、像の光束を撮影範囲が超過したため四隅に黒くケラレが生じています。
GC100との組み合わせよりも撮影範囲は広がるため、ケラレを許容できる場合には有効な組み合わせです。ケラレのない静止画等が必要な場合には、撮像できている範囲のみをトリミングすることで対応可能ではありますが、当然ながらトリミングした範囲の外側は破棄することになるため、結果的に静止画の解像度は少し低下します。
撮影範囲を優先しつつ、撮像領域の解像度を比較的高く保っておきたい場合に有用です。
4. WRAYCAM-NOA2000N+GC050(0.50倍)

CマウントアダプタユニバーサルタイプGC050(0.50倍)を介して三眼鏡筒に接続した場合の撮影範囲です。
撮像領域が撮影範囲内にほぼすべて入り込む状態となり、接眼レンズ視野とほぼ同等の非常に広い撮影範囲が得られますが、反面非常に広い範囲が黒くケラレた状態になります。
ここまで大きくケラレてしまうと、ケラレのない静止画を得るという用途には適しません(トリミング自体は可能です)。接眼レンズを覗きながら行っている手技をディスプレイ上で共有したり、視野内を動きまわる対象物の動画撮影等の用途であれば有用です。
なお、撮影範囲は非常に広くなりますが、短辺側(縦方向)はわずかに撮影範囲に入らない箇所があります。また、レンズの端の像が映りこむため撮像領域の辺縁部は像クオリティが低下するというデメリットもある点は注意が必要です。
5. WRAYCAM-NOA2000N+GC037(0.37倍)

CマウントアダプタユニバーサルタイプGC037(0.37倍)を介して三眼鏡筒に接続した場合の撮影範囲です。
短辺側も含め、視野範囲をほぼすべて撮影範囲内に収めることができますので、接眼レンズ視野の辺縁部付近にある対象物の確認や、全体の対象物個数のカウント、顕微鏡下作業の共有等に適しています。
ただし、GC050との組み合わせと同様、撮像領域辺縁部は像クオリティが低下するため、デメリットを理解したうえで使用しましょう。
Cマウントアダプタユニバーサルタイプ選択時の注意点
一般的には撮影像のケラレを避けることが多いため、カメラセンサーサイズに対してケラレの生じない倍率をお選びください。
カメラセンサーサイズ・アダプタ倍率・撮影範囲の関係については、以下記事をご参考いただけますと幸いです。
用途や目的によっては、ケラレが生じてしまうデメリットよりも、撮影範囲が広くなるメリットのほうが大きくなることもあり、そのような場合にはカメラセンサーサイズに対して対倍率なアダプタを故意に使用することもあります。
低倍率アダプタ利用時のケラレの程度やデメリットについては前述のとおりですので、あらかじめご理解のうえご検討ください。
なお、同じ倍率のアダプタを用いた場合でも、アダプタの機種によりケラレの程度や撮影範囲の広狭が異なることがあります。これらは倍率以外にアダプタを構成している光学系レンズの大きさも影響しており、レンズサイズが大きいCマウントアダプタであれば、同じ倍率でもケラレが小さい・生じないといったことがあります。
CマウントアダプタユニバーサルタイプGCシリーズは、嵌め合い径23.2mmのJIS鏡筒に取り付けられる設計になっており、利用できる顕微鏡が多い反面、レンズ口径が小さくケラレの範囲が広くなってしまいます。
同じ倍率でもよりケラレが小さい像を得られたい場合、顕微鏡によっては別のCマウントアダプタが使用できることもあるため、ご希望の際はレイマーまでお問い合わせください。