計測機能の単位について
MicrostudioやSpectman、もしくはFLOYDシリーズに搭載された計測機能を使用することで、観察対象物のサイズを測ったり、画像にスケールバーを挿入できます。
この計測機能を使用する際は、対物ミクロメーターや金尺等、既知の長さのものを用いたキャリブレーション(較正)を行う必要がありますが、本記事ではキャリブレーション時の目盛単位と、実際に計測を行う際に選択する単位の違いについて解説いたします。
キャリブレーションに用いたスケール目盛の単位と計測時の単位は連動しない
結論から言いますと、キャリブレーションに用いたスケール・対物ミクロメーターの目盛と、実際に計測を行う際に表示させる計測結果の単位は連動していないため、計測結果の表示単位は都度・任意に選択・変更が可能です。
キャリブレーションと計測時の単位が異なる場合の例
弊社の対物ミクロメーターB1S10/100の最小スケールの場合、1目盛が0.01mm(10μm)となっており、上図のように画面上の40目盛を使用してキャリブレーションを行った場合、キャリブレーション時のバーのピクセル数が1406.413ピクセルであるため、キャリブレーションの設定値は1406.413ピクセル=400μmとなります。
上記の設定値を使用し計測を行った際、2点間計測で1406ピクセル分程度の長さに線を引いた場合、計測単位にμmを選んでいると、当然ながら400μmが計測結果として表示されます。
このとき、引いた線はそのままに、計測単位のみをmmに変更すると、表示が0.4mmに変化します。計測されている長さとしては同じですが、単位がμmの1000倍のmmに変更されたため、ソフトウェアが数値を換算して表示します。
このとき、μm単位での表示は小数点以下を含む400.16μmとなっていましたが、mmに換算した際に表示桁数を下回るような場合、桁が繰り上げられて表示されます。ただし、内部的な計測情報は持っているため、再度μmに単位を変更すると400.16μmと表示されます。
キャリブレーションはできる限り細かい単位で行う
前述したとおり、μm単位でキャリブレーションを行ったとしてもmm単位でキャリブレーションを行ったとしても、表示させる単位を正しく選べばmm・μm・nm等の任意の単位で表示は可能です。
ただし、あくまでもソフトウェアが持っている情報の範囲内で換算を行うため、μm単位でキャリブレーションした場合に3000ピクセル=999μmとなる倍率で、mm単位でキャリブレーションを行うと目盛の最小値である1mm未満は判断ができない(1.00mm、0.99mm等の入力は可能だが、画像上でそれが1.00mmなのか0.99mmなのかは視覚的に判断が難しい)ため、キャリブレーションを行った際の最小目盛よりも小さい単位で計測を行った際、結果的に僅かな誤差が生じる可能性が高くなります。
大きな差異が生じるようなものではありませんが、キャリブレーションは実際の計測を行う単位になるべく近しいものでの実施を推奨いたします。
※実際には、1μm単位やそれ以下のスケールを用意することは現実的ではないため、用意が可能な限りで細かい目盛のものをご利用いただく、といったことで問題ないかと思います。