顕微鏡使用時の視力の影響・視度補正
人の視力には個人差があり、一般的に目が悪い(≒裸眼視力が低い)と言われる人の場合でも、近視・遠視・乱視のようにその症状も一様ではなく、加齢や病気が原因となっていることも少なくありません。
顕微鏡の接眼レンズを覗き込んで観察する場合、見えやすい・見えづらいといった差は起こり得るかもしれませんが、ご自身にとって最も見えやすいアイポイントで検鏡を行うことで、見ている顕微鏡像自体に大きな違いは生じないと考えられます。
ただし、複数人で同じ顕微鏡を共用して観察を行う場合、人によってピントを合わせる位置が若干異なることはあります。
左右の視力差がある場合は視度補正を行う
左右の目に大きな視力差がある場合、両眼で覗くタイプの顕微鏡では、例えば右眼では見えるが左眼はぼやけてしまう、といった左右差が生じることがあります。
このような場合は、顕微鏡の接眼部もしくは接眼レンズに備わっている「視度補正環」を使用し、視度補正を行ってください。
視度補正環の基本的な使い方
視度補正環は、顕微鏡や接眼レンズによって、両眼に備わっている場合と、片側だけに備わっている場合がありますが、どちらの場合でも使用方法に大きな違いはありません。
まずは片方の目(視度補正環が片側の場合は、視度補正環が無い側の目)で顕微鏡の接眼レンズを覗き、標本にピントを合わせます。
つぎに、反対側の目で接眼レンズを覗き、ピントのずれを感じる場合、接眼レンズを覗き込んだままピントが合うように視度補正環を操作します。
視度補正環を使用した際の注意点
視度補正環は左右の視力差の補正に使用しますが、三眼鏡筒の顕微鏡の場合は注意が必要です。
三眼鏡筒(カメラ接続用の撮影鏡筒)は、顕微鏡により仕様が異なりますが、接眼レンズ観察時との同焦点が得られる設計になっているものもあります。
ただし、同焦点は視度補正環の位置が「0」等のニュートラル位置にあることを前提として得られることが多いため、視度補正環を操作している場合、接眼レンズとカメラ撮影像の同焦点が得られなくなることがあります。