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単眼・双眼・三眼鏡筒の違いについて

顕微鏡には様々な種類があり、その形状も多様です。

観察対象・サンプルに適した顕微鏡を選ぶことが重要であるのは当然ですが、例えば染色したプレパラートを観察する場合には生物顕微鏡を用いることが多いです。その際、鏡筒の種類(単眼鏡筒・双眼鏡筒・三眼鏡筒)によって、どのような違いがあるのでしょうか。

本記事では、同じ顕微鏡機種を使用すると仮定した場合に、鏡筒タイプによる主な違いや選び方について解説していきます。

鏡筒タイプによる見える・見えないの差は無い

まず重要な点ですが、顕微鏡において対象物が見える・見えない(細かく分解できているかを含む)は、対物レンズの倍率・分解能(開口数)により決まります。

鏡筒タイプは対物レンズの性能には影響しないため、例えば双眼鏡筒では見えるものが同じ機種の単眼鏡筒タイプでは見えない、といったことは起こりません。

鏡筒タイプによる主な違い

鏡筒タイプによる主な違いは、像の違いというよりも観察する際に片眼・両眼のどちらになるか、といった観察手段の違いといえます。具体的には次のようにお考えください。

単眼鏡筒タイプ

接眼レンズがひとつだけ備わったタイプの鏡筒です。顕微鏡を使用する際には必ず片眼だけで接眼レンズを覗くことになりますので、双眼タイプに比べると使用している側の眼に疲労が溜まりやすいと言えます。

Cマウントアダプタユニバーサルタイプ等を使用してカメラの接続も可能ですが、ひとつしかない接眼部をカメラに入れ替えるという使い方になるため、カメラ接続時に接眼レンズを覗いての観察はできません。

双眼鏡筒タイプ

接眼レンズが2つ備わった、両眼で観察できるタイプの鏡筒です。実体顕微鏡の場合、左右の対物レンズの傾斜により、両眼観察を行うことで像を立体的に見られるという効果がありますが、生物顕微鏡の場合はそういったことはありません(同じ対物レンズの像を両眼で見ているため)。
しかしながら、両眼で観察を行うことにより片方の眼に負担が集中しないため、疲労しづらくなります。

また、推奨される使い方ではありませんが、片眼に顕微鏡用カメラを接続して撮影を行っている際にも、他方の接眼レンズは観察できる状態となってはいるため、カメラでの撮影と片眼での観察を並行することも可能ではあります。

三眼鏡筒タイプ

2つの接眼部に加え、撮影機器を接続するための撮影鏡筒(三眼鏡筒部)が備わったタイプの鏡筒です。

左右両眼で観察ができる点等、双眼鏡筒の特徴はそのまま備えており、撮影鏡筒にカメラを接続することで両眼観察とカメラでの撮影が両立できるようになっています。

三眼鏡筒の仕様は様々ありますが、大きく分けて「光路切換式」と「光路分配式」のふたつがあり、光路切換式は接眼レンズ観察時・カメラ撮影時それぞれで光路を切り換えて使用するため、接眼レンズ観察と三眼鏡筒部のカメラ撮影は並行利用ができません(どちらか一方は光が来なくなる)。

光路分配式は接眼レンズ左右どちらかの光路を常時三眼鏡筒部と分配しているため、接眼レンズを覗いている際にも同時にカメラでのプレビュー像を確認することが可能です。光路分配の割合は50:50以外にも20:80等、機器により違いがあります。

上記の光路方式はどちらが良いといったものではなく、一長一短といえます。
光路切換式は接眼観察と撮影を並行できませんが、切替を行うことで光量を100%使用できるため、明るい像が得られ、撮影像のクオリティも高くなりやすいです。
光路分配式は接眼観察と撮影が並行可能ですが、分配の割合に応じて光量が低下してしまう点はデメリットとなります。

鏡筒タイプの選び方

前述した仕様の違いをもとに、ご使用方法や使用環境に応じてお選びください。

顕微鏡カメラと接眼観察をどちらも行い、カメラは常時セットしたままにしたい場合は三眼鏡筒が適切です。さらに、接眼観察時にプレビュー像を並行して表示させたい場合、例えば指導者が行っている手技をモニタで複数人が視聴するような使い方の場合は、三眼鏡筒の中でも光路分配式のものを選ぶ必要があります。

接眼観察のみの場合や、カメラを使用する場合でも頻度が高くなく、接眼レンズとの入れ替えで問題なければ、単眼タイプや双眼タイプで十分です。

あえて単眼タイプを選択するメリットはあまりありませんが、ラインナップの中では低価格である場合も多いため、ご予算に応じてお考えください。