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カメラを顕微鏡三眼鏡筒部・双眼鏡筒部に接続した場合の違い

顕微鏡は対物レンズで作られた像を接眼レンズを覗いて観察する機器ですが、昨今では肉眼で覗くだけでなく、顕微鏡用カメラ等を接続し、映像・画像での観察も多くなっています。

一般的に、顕微鏡にカメラを接続する場合、撮影機器用のポート(撮影鏡筒)を備えた顕微鏡を使用することが多いですが、レイマーが取り扱っているCマウントアダプタユニバーサルタイプGCシリーズを用いることで、三眼鏡筒やサイドポートの無い双眼タイプ・単眼タイプの顕微鏡にもカメラを接続してご利用いただけます。

本記事では、三眼鏡筒部・双眼鏡筒部(単眼鏡筒含む)にそれぞれ顕微鏡用カメラを接続した際の違い・メリット等について解説します。

三眼鏡筒部にカメラを接続するメリット

三眼鏡筒部に顕微鏡用カメラを接続する方法は一般的ですが、そのメリットは双眼鏡筒部とカメラ接続部が明確に分離されていることで、接眼レンズ観察にカメラ接続有無が影響しないことです。

接眼レンズでの観察と顕微鏡用カメラによる撮影を併用する場合でも、カメラは顕微鏡に装着したままで利用でき、着け外し等の手間なくスムーズに使用できます。

また、三眼鏡筒モデルには大きく分けて光路切換式・光路分配式のふたつの仕様があります。

光路切換式は、双眼鏡筒部と三眼鏡筒部のどちらに光を送るかをレバーやつまみ等で切り換える仕様です。顕微鏡が得た光を双眼鏡筒部・三眼鏡筒部のいずれかに100%送ることができるため、明るく明瞭な像が得られ、特に顕微鏡写真撮影においては美しい像の撮影に有利であると言えます。

その反面、三眼鏡筒部を使用して撮影を行う際は双眼鏡筒部に光が送られないため、顕微鏡を両眼で覗きながらリアルタイムに並行してカメラの映像を閲覧する、というような使い方はできません(機器により、片眼のみ見えなくなるもの、両眼ともに見えなくなるものどちらも存在します)。

光路分配式は、双眼鏡筒部と三眼鏡筒部のどちらにも常に光を分配し、顕微鏡を覗きながら並行して三眼鏡筒部に接続したカメラの映像も閲覧ができる仕様です。

接眼レンズからの観察とカメラによるプレビューが同時並行できる点がメリットですが、顕微鏡が得た光を双眼鏡筒部・三眼鏡筒部のそれぞれに分配するため、光路切換式と比べると像は暗くなります(機器により、双眼鏡筒部:三眼鏡筒部の分配割合は50:50や20:80等さまざまです)。

また、双眼鏡筒部の左右どちらかの光路と三眼鏡筒部の光路を分配している場合、光路分配を行う側・行わない側の光量差を低減するため、光路分配を行わない側の双眼鏡筒部を減光していることもあります。

光路切換式・光路分配式のいずれも一長一短ではあるので、ご用途やご使用環境に合わせてお選びください。

双眼鏡筒部にカメラを接続するメリット

双眼鏡筒部にカメラを接続する場合、CマウントアダプタユニバーサルタイプGCシリーズと、必要に応じて各種アタッチメントを併用します。

双眼鏡筒部への接続については、接眼レンズの代わりにカメラを取り付けることになるため、基本的には双眼鏡筒部を覗いての観察ができなくなります。三眼鏡筒部に接続する場合に比べ、接続方式としてのメリットがあるとは言えませんが、既存の顕微鏡が双眼鏡筒モデルである場合、三眼鏡筒モデルへの買い替えをせずに顕微鏡写真の撮影に対応できるようになる、というコスト面でのメリットは大きいと言えます。

また、タイプの違う顕微鏡用カメラ(モノクロとカラー等)を三眼鏡筒部と双眼鏡筒部にそれぞれ接続し、同じ対象を異なるカメラで並行して撮影を行う、というような使い方をされているケースもあります。

三眼鏡筒部・双眼鏡筒部にカメラを接続した場合の違い

同じ機種の顕微鏡用カメラを、同じ顕微鏡の三眼鏡筒部と双眼鏡筒部にそれぞれ接続した場合の違いについては、接続する鏡筒がどちらかというよりも接続に使用するアダプタによる差異のほうが大きいと考えます。

もちろん、顕微鏡の構造上、三眼鏡筒部と双眼鏡筒部ではカメラセンサーが受光するまでの経路や経由してくる光学的部品が異なるため、当然ながら全く同じ像であるとは言えませんが、それほど大きな差を感じられることは少ないと思います。

アダプタの違いにより際として感じられやすいものは、以下のようなものが挙げられます。

アダプタ倍率の違いによる撮影範囲の違い

カメラ撮影範囲は、カメラに搭載されたセンサーの大きさ(センサーサイズ)と、接続に用いるCマウントアダプタ倍率により決まります。

ここに差がある、例えばセンサーサイズ1/3インチのカメラを接続する際、三眼鏡筒部のCマウントアダプタは0.5倍、双眼鏡筒部のCマウントアダプタは0.37倍を使用した場合は、双眼鏡筒部に比べて三眼鏡筒部に接続したほうが撮影範囲は狭くなります(センサーサイズ1/3インチの場合、0.37倍のCマウントアダプタであれば接眼レンズ観察視野に近似した撮影範囲が得られ、0.5倍だとやや狭く拡大されたような像になります。カメラセンサーサイズとCマウントアダプタ倍率による撮影範囲の関係は、以下記事をご参照ください)。

顕微鏡カメラに対するCマウントアダプタ倍率の選び方

Cマウントアダプタのレンズサイズ・クオリティによる像の違い

Cマウントアダプタの光学系レンズは、前述した撮影範囲を調整するためのものですが、光学系レンズであるため当然ながら像に影響を与えます。

例えば、レンズ口径の大きいCマウントアダプタであれば、レンズ口径の小さいアダプタに比べ、像辺縁部の収差・歪みが少なく、平坦性の高い像が得られることが考えられます。

また、レンズ自体のクオリティ差により、色味やコントラストといった面で差を感じられることもあるかもしれません。

Cマウントアダプタのレンズ有無による違い

上記は光学系レンズが入っているもの同士の差でしたが、1倍Cマウントアダプタの場合はレンズ自体が無いもの(ダイレクトタイプ)と、光学系レンズが入ったものがいずれも存在します。

基本的に、光学系レンズが光路に存在すればするほど、像の収差・歪みの原因となるため、同じ倍率のアダプタであっても、アダプタ内の光学系レンズ有無により像の印象が異なることが考えられます。

撮影像については上記のような差が見られることもありますが、多くの場合はそれほど顕著なものにならないとお考えください。

撮影像の違いよりも、カメラを装着したまま双眼部の利用ができるか、カメラ・モニタが一体型の製品の取付時にモニタが正面を向けられるかといった使用感での違いが大きいかと存じますので、ご使用環境やご用途を考慮いただき、適切な接続方法をご検討ください。