コツやテクニックについてTIPS

スティッチング機能を正常に使うためのコツ

高倍率・高分解能な顕微鏡像を、複数枚繋ぎ合わせることで一枚の広範囲かつ高分解能な画像を生成するスティッチング機能ですが、使用方法によってはうまく繋ぎ合わさってくれない、エラー表示が頻発してしまうといったことが起こります。

すべてのケースを解決できるわけではありませんが、多くの場合は顕微鏡やソフトウェアのセッティング、操作方法により改善が可能です。

ケースごとに、以下のとおり解説していきます。

1. 標本の大部分を背景が占めている

標本中に点在する花粉や粒子のような、観察像の大半を背景(バックグラウンド)が占めている場合、隣り合う画像同士がどのように接合されるものなのかソフトウェア側が判断できないことが多く、エラーが生じてしまいます。
このような標本は基本的にスティッチングに適していません。

2. 標本のコントラストが低すぎる

標本が大きく映ってはいますが、コントラストが低い場合、やはり画像をどのように接合するかの判定にエラーが生じやすくなります。

顕微鏡のコンデンサ開口絞りを絞り込んで元の顕微鏡像のコントラストを向上させるほか、ソフトウェアのカラー調整パネル内のコントラスト値を高く設定し、撮影像のコントラストを強めてお試しください。

3. 撮影像が暗すぎる

撮影像の明度が低すぎる(像が暗すぎる)場合も、やはり接合部の判断が正常に行えないケースが多くあります。

顕微鏡の照明光を強く設定するほか、露出時間やゲインをやや高く設定したり、カラー調整パネル内の明度を高く設定し、画像の明度を高めてお試しください。

※露出時間を長くしすぎると、フレームレートの低下によりスティッチングにエラーが起きやすくなります。

4. 標本に対してのピントが甘い

コントラストが弱い場合と同じような状況といえますが、ピントが甘く輪郭がはっきりとしないような顕微鏡像の場合はスティッチングにエラーが生じることがあります。

スティッチングに限らず、顕微鏡像はピントを正確に合わせて観察・撮影を行うことが重要です。見た目での判断が難しい場合は、フォーカスアシスト機能等を併用してみましょう。

5. スティッチング開始位置が悪い(繋ぎ合わせたい対象の表示面積が小さい)

標本自体が小さいわけでは無いですが、開始位置を端にし過ぎており、画面上がほぼ背景という状態になっています。バックグラウンドが大半を占める場合と同様に、接合部の判定に影響し、正常にスティッチングできない可能性があります。

繋ぎ合わせたい対象物は、少なくとも画面の5割以上に表示させた状態からスティッチングを開始するようにしましょう。

スティッチング機能を正常に使用するためのコツ

スティッチング機能をエラーなく正常に使用する場合、以下のような点に気を付けてご利用ください。

  • 適切な標本に対して行う(粒子等には不適当)
  • 映像は一般的な観察時よりも明るく保つ
  • コントラストは強く
  • ピンとは正確に合わせる
  • ゆっくりと走査する