コツやテクニックについてTIPS

冷却USBカメラWRAYCAM-CIXシリーズを長くご愛用いただくために

USBカメラWRAYCAM-CIXシリーズは、冷却機能により長時間露光等に発生しやすい熱による暗電流(ダークノイズ)を抑制することができます。

暗電流とは:通常、イメージセンサーの受光素子(フォトダイオード)は、光が入射することで電荷を発生させます。暗電流は、光の入射が無いにもかかわらず発生してしまう電荷であり、イメージセンサーの温度が高いほど多く発生します。
暗電流により、本来何もないはずの箇所に像として出現したものはホットピクセルと呼ばれます。

ホットピクセルの例(赤い点)

冷却機能は、イメージセンサーを冷却することで暗電流の発生を減らす機能ですが、冷却に伴う結露の可能性があるなど、その取り扱いには注意を払う必要があります。

本記事では、USBカメラWRAYCAM-CIXシリーズの使用方法・コツについて解説・紹介していきます。

冷却カメラと結露

冷却カメラは、イメージセンサーを冷却することで、熱が原因となる暗電流を抑制します。

USBカメラWRAYCAM-CIXシリーズの冷却機構は、ペルチェ冷却システムを採用しています。
冷却システム動作中は、イメージセンサーおよびその周辺部が低温となるため、イメージセンサー周辺の空気に水蒸気が含まれていると、結露が生じる恐れがあります。

これを防ぐために、冷却カメラではイメージセンサー部を気密性の高い閉鎖チャンバー構造にし、閉鎖チャンバー内部を低湿な状態にしてあります。

閉鎖チャンバー構造(イメージ)

カメラを結露させないために

しかしながら、前述のような構造を持っていても、使用方法を誤ると結露を生じさせてしまうことがあります。

結露を避けるため、冷却カメラは以下の注意事項を守ってご使用ください。

適切な温度・湿度下で使用する

冷却カメラ周辺の温度は20~25℃を推奨しています。

また、高い湿度下でのご使用はお控えください。

冷却カメラの周りに十分なスペースを設ける

USBカメラWRAYCAM-CIXシリーズは、冷却により熱を持ったヒートシンクを冷却ファンにより冷やしています。

冷却ファンの冷却効果を高めるために、カメラ周囲には十分なスペースを設けてください。

寒暖差のある環境間での移動を避ける

寒い場所から暖かい場所、例えば冬季に寒い場所に置かれていたカメラを、暖房の効いた暖かい部屋に持ち込むと、カメラに結露が生じます。このような環境間でのカメラの移動は避けてください。

どうしてもこのような環境間で移動させる必要がある場合は、以下の手順に従ってください。

1. 寒い場所に置かれていたカメラは冷えています。移動前に、寒い場所でカメラ本体をフリーザーバッグのような密閉できるビニール袋に入れ、密閉します。この時、乾燥剤(シリカゲル)もビニール袋に入れ、乾燥させつつ温度を合わせるとより効果的です。

2. ビニール袋に入れたカメラを、暖かい場所に移動させ、1〜2時間放置します。

3. ビニール袋内のカメラが周囲の温度になじんだら、ビニール袋から取り出します。

低温かつ長時間の使用を避ける

ソフトウェアにて冷却の設定温度を0℃以下にし、かつ72時間以上連続使用すると、カメラに結露が生じやすくなります。

このような条件で使用する必要がある場合は、カメラを使用しないときに冷却温度を15~20℃に設定し、1~2時間程度の動作を1~2週間に1度程度定期的に行ってください。結露の発生を低減させることができます。

カメラを使用しないときは密封できる容器に入れておく

カメラを使用しないときは、カメラを乾燥材とともにビニール袋に入れ、製品付属のケースに密封して保管するようにしてください。

カメラを顕微鏡から取り外して保管することが難しい場合は、顕微鏡にカメラを取り付けたまま、乾燥材を入れたビニール袋で包んでおきましょう。

閉鎖チャンバーの気密性

閉鎖チャンバーは、以下のような要因で気密性が低下し、閉鎖チャンバー内部に外気が侵入することで低湿な状態が保てなくなります。

閉鎖ネジを緩める

閉鎖チャンバーの通気孔は、閉鎖ネジで密封されています。このネジを緩めてしまうと閉鎖チャンバーの気密性が失われ、外気がチャンバー内部に侵入し、低湿状態が保てなくなります。

閉鎖ネジを誤って緩めてしまうことを避けるため、閉鎖ネジ部には封印シールを貼っています。封印シールは、絶対に剥がさないでください。

シーリング材の経年劣化

閉鎖チャンバーで使用されているシーリング材は、経年により劣化するため、経時的に外気が侵入する可能性が高くなります。

シーリング材の経年劣化は不可避であり、冷却カメラの気密性を保つことができる期間の目安は一般的に約3年程度と言われており、弊社の冷却カメラも同様です。

結露が生じた場合の対処

前述した注意点に気を付けてご利用いただいていたとしても、結露が生じてしまうことがあります。

結露が発生したら、直ちに電源を切り、早急にレイマーまでご連絡ください。

その他の注意事項

その他、以下のような使用・保管は避けるようにしてください。

  • 直射日光の当たる場所での使用・保管
  • 暖房器具の近くでの使用・保管
  • 液体にさらされる可能性のある場所での使用・保管
  • 強い磁気や電波の発生源付近での使用・保管
  • 振動のある場所での使用・保管
  • 腐食性ガス(塩素・フッ素等)と接触する可能性がある場所での使用・保管
  • 埃の多い場所での使用・保管