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位相差顕微鏡で疑似的に暗視野観察を行う方法

レイマーの正立型生物顕微鏡や位相差顕微鏡には暗視野観察用のオプション品(暗視野コンデンサ)を用意しています。

明視野観察よりも検出力が高い暗視野観察ですが、コンデンサ自体を暗視野観察用のものに交換するため、交換のたびに光軸調整(芯出し)が必要となるため手間がかかってしまうというデメリットもあります。

生物顕微鏡を使用している場合や、高倍率(対物20倍以上)での暗視野観察をされたい場合には適しませんが、位相差顕微鏡を使用している場合かつ低倍率(対物10倍以下)での暗視野観察を簡易的・疑似的に行いたい場合、暗視野コンデンサを使用せずに対応できる方法をご紹介します。

位相差顕微鏡での疑似的な暗視野観察手順

位相差顕微鏡を使用して疑似的な暗視野観察を行う場合、以下のようにセッティングを行います。

通常、位相差顕微鏡では位相差像を得るため、使用する対物レンズの倍率とターレットコンデンサの数値を一致させて使用します。

詳しくは以下記事をご参照ください。

疑似的な暗視野像を得る場合、ターレットコンデンサ内の環状絞り(リングスリット)の径が数値により異なることを利用し、故意に数値をずらすことで暗視野観察のような状態を作ります。

このように、低倍率(10倍以下)の対物レンズを光路に入れた状態で、ターレットコンデンサの数値を最も環状絞りのサイズが大きい100に設定することで、疑似的な暗視野観察が可能となります。

明視野・位相差・疑似暗視野の見え方の違い

対物レンズ倍率は同じ10倍の状態で、それぞれの観察方法による画像です。ご参考ください。

明視野観察像

未染色標本の場合、明視野観察ではほとんど像をとらえることが出来ません。

位相差観察像

位相差観察では、未染色の透明な標本でも像をとらえられています。

疑似暗視野観察像

疑似暗視野観察の場合、明視野観察・位相差観察よりもゴミや異物の検出力が向上しています。