【WRAYCAM-CIX】冷却機能の効果と暗電流(ダークノイズ)について
顕微鏡用USBカメラWRAYCAM-CIXシリーズ等の冷却機能を備えた顕微鏡用カメラは、長時間露出時に発生するセンサーの発熱や、それに伴うノイズ(暗電流/ダークノイズ)の発生を抑制します。
暗電流/ダークノイズとは
通常、カメラ等に搭載されているイメージセンサーは光を検出することにより電荷を発生させ、各ピクセルごとの電荷強弱により映像(の元となる電子情報)を作ります。
このとき、光を検出していないにも関わらず、検出した場合のように電荷を発生させてしまうことを暗電流と言います。
暗電流は絶縁不良などの欠陥が原因の場合もありますが、微弱光の標本撮影時等、顕微鏡用カメラを長時間露光させた場合のセンサーの発熱が原因となる場合があります。
冷却機能による暗電流の抑制
長時間露光時の発熱を抑制する場合、イメージセンサーの冷却が効果的です。
冷却は全ての顕微鏡用カメラ機種で行えるものではなく、冷却機能を備えたカメラ特有のものとなっています。
冷却時には外気温との差により結露が生じやすくなるため、通常このような機能が搭載された顕微鏡用カメラはセンサー部が密閉のうえ、除湿・脱湿されています。
顕微鏡用USBカメラWRAYCAM-CIXの場合、上記のように除湿口は密封されています。
密封シールをはがしてしまうとセンサー部が結露する原因となり、製品保証の対象外となります。ご利用の際は十分ご注意ください。
顕微鏡用USBカメラWRAYCAM-CIXシリーズの冷却機能
顕微鏡用USBカメラWRAYCAM-CIXシリーズは2段ペルチェ冷却機能を採用しています。
ペルチェ冷却機能に使用されているペルチェ素子(ペルティエ素子)は、「2種の金属の接合部に電流を流した際に片方の金属から他方の金属へ熱が移動する」というペルティエ効果を利用した板状の半導体素子で、この効果によりイメージセンサーを冷却します。
ペルチェ素子は吸熱した反対側で発熱が起こるため、顕微鏡用USBカメラWRAYCAM-CIXシリーズでは本体内部のファンを回転させ、外部への放熱します。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A8%E7%B4%A0%E5%AD%90
5秒以内の露出時間では冷却機能の効果が得られない
露出時間設定と冷却機能は個別に設定できるため、露出時間の長短に関わらず冷却機能の利用は可能です。
ただし、一般的な実験において発生する熱ノイズは5秒超の露出時間に設定した場合であり、5秒以内の露出時間であれば冷却機能を使用したとしても特に効果がみられないようです。
冷却機能の使用はファンの回転による振動など、微細な標本撮影において影響が考えられるデメリットもあるため、設定する露出時間において冷却機能が必要かどうか(効果が得られるかどうか)についてご検討ください。