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暗視野コンデンサの使用方法と観察像について

WRAYMERの生物顕微鏡BX-2700TL・生物顕微鏡BX-3500TL等は基本的に明視野観察を行う機器ですが、オプション品として暗視野コンデンサを用意しており、使用することで暗視野観察が可能です。

本記事では、生物顕微鏡BX-2700TLを例に、暗視野コンデンサのセッティングおよび使用方法を解説していきます。

暗視野観察(暗視野検鏡)とは

暗視野観察の概要は以下のとおりです。

一般的な光学顕微鏡(明視野照明)の場合、照明光の色(電球色、暖色系の白色など)の明るい背景の中に置かれた試料が光を遮り、背景より暗い様子を観察する。一方、暗視野検鏡は対物レンズに光が入らないように斜めなどから照明し、試料が散乱した光を観察する。 この場合、暗い背景に明るい試料が浮かび上がって観察される。この照明法のことを暗視野照明とよぶ。

暗視野検鏡 – Wikipedia より

暗視野コンデンサの種類

2021年7月現在、WRAYMERで取り扱っている暗視野コンデンサは以下の2種です。

左:油浸系暗視野コンデンサ 右:乾燥系暗視野コンデンサ

暗視野コンデンサは対物レンズへ入射する光を制限することで散乱光による像を得るため、対物レンズの開口数に応じたコンデンサを用いる必要があります。

乾燥系暗視野コンデンサ

乾燥系暗視野コンデンサは低倍率観察用の暗視野コンデンサで、主に対物レンズ倍率10倍以下での観察に使用します。
その名のとおり観察時の油浸が不要であるため使用が容易で、油浸系暗視野コンデンサに比べて安価であるというメリットがあります。

油浸系暗視野コンデンサ

油浸系暗視野コンデンサは高倍率観察用の暗視野コンデンサで、主に対物レンズ倍率20倍以上での観察に使用します。
観察にあたってはコンデンサレンズと標本の間を油浸用オイルで満たして使用する必要があるため、乾燥系暗視野コンデンサに比べて使用のハードルはやや高くなります。

なお、対物レンズ倍率100倍等の高倍率レンズの場合、一般的な対物レンズでは油浸系暗視野コンデンサの対応開口数を超えてしまうため、暗視野像が得られないことがあります。
100倍での観察の場合、対物レンズ開口数が変更可能な絞り付きの製品を利用することで対応可能です。

生物顕微鏡BX-2700TLで暗視野コンデンサを使用する

それでは、実際に生物顕微鏡BX-2700TLを用いて暗視野コンデンサで観察してみます。

1. 暗視野コンデンサを装着する

生物顕微鏡BX-2700TLの場合、標準仕様として明視野用アッベコンデンサが装着されています。

画像の枠部分がコンデンサです。
コンデンサ上下ハンドルを操作してコンデンサ位置を下げ、正面にあるコンデンサ固定ネジを緩め、アッベコンデンサを取り外します。

アッベコンデンサを取り外したコンデンサホルダリングの下方から、暗視野コンデンサを差し込んで装着します。
このとき、コンデンサは必ず最上位値まで押し込むようにしましょう(コンデンサ取付位置が低い場合、正常な観察像が得られません)。

最上位に押し込みながらコンデンサ固定ネジを締めこんで固定し、コンデンサ上下ハンドルを操作してコンデンサ位置を最上位に戻します。

2. 暗視野コンデンサの芯出し

暗視野コンデンサで正常な暗視野像を得るため、光軸調整(芯出し)を行います。

顕微鏡の電源を入れ、照明を点灯させます。対物レンズ10倍を光路にセットし、接眼レンズを取り外した状態で接眼筒を覗き込みます。

コンデンサ上下ハンドルを操作し、徐々にコンデンサを下げていくと、光の環(もしくはうっすらとした黒い円)が見えてくるので、その環が視野の円と同心円になるよう、コンデンサ調整つまみを操作し調整します。

Aのように視野に対し光の環がずれている場合、Bのような位置になるよう調整します。

同心円位置に調整出来たら、コンデンサ位置を最上位付近に戻します。接眼筒を覗き込み、視野内が真っ暗になった位置が適切な位置です。

油浸系暗視野コンデンサ使用時の注意点

乾燥系暗視野コンデンサの場合、前述の芯出しが完了しましたら、そのまま明視野観察時と同じようにご利用いただけます。

油浸系暗視野コンデンサの場合、観察時にはコンデンサレンズの上面と標本の裏面(底面)の間を油浸オイルで満たす必要があります。

ただし、油浸系対物レンズの場合を除き、対物レンズと標本間の油浸は不要であるため、誤ってオイルを塗布しないようご注意ください。

乾燥系対物レンズを油浸してしまうと、以後正常に利用できなくなる恐れがあります。

暗視野観察像の例

以下は珪藻類の染色標本を明視野観察・暗視野観察(いずれも対物レンズ倍率10倍)にて撮影を行ったものです。

明視野観察像

暗視野観察像