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WRAYCAM-NOA2000N+CマウントアダプタSXYシリーズ使用時の撮影範囲イメージ

WRAYCAM-NOA2000Nは、顕微鏡用カメラでは大型の1インチセンサー(撮像素子)を搭載し、広い撮影範囲が得られるという利点があります。

センサーサイズの小さいカメラでも、縮小光学系レンズが入ったアダプタを併用することで広角撮影は可能ですが、アダプタが高価であったり、レンズ等の光学系が増えることで像のクオリティが低下する恐れがあります。その点で、光学系レンズの無い等倍アダプタでも広い撮影範囲が得られるUSBカメラWRAYCAM-NOA2000Nは優位といえます。

また、USBカメラWRAYCAM-NOA2000Nと縮小光学系レンズを内蔵したアダプタを併用することで、大きくケラレてはしまいますが、接眼レンズ視野を内包する撮影範囲を得ることが可能です。

本記事では、USBカメラWRAYCAM-NOA2000NとCマウントアダプタSXYシリーズの各倍率を組みあわせた際の撮影範囲や撮影像の違いについて解説します。

WRAYCAM-NOA2000NとCマウントアダプタSXY各倍率における撮影範囲比較

実際にWRAYCAM-NOA2000Nを使用して撮影した際の倍率による撮影範囲の違いを記載します。

なお、今回の撮影はLW-820TにCマウントアダプタSXYを介してWRAYCAM-NOA2000Nを接続して行っています(対物レンズ倍率:最小倍率(0.67倍))。

1. 接眼レンズ(視野数22)の視野

標準仕様の接眼レンズ(視野数22)を覗き込んだ際の視野はこのようになります(接眼レンズからのコリメート撮影)。

対物レンズ倍率0.67倍のため、1mmの目盛が30目盛(30mm)、接眼レンズ視野内に映り込んでいます。
この接眼レンズからの視野を基準として、CマウントアダプタSXY各製品により撮影範囲にどのような違いがあるかを見ていきましょう。

2. WRAYCAM-NOA2000N+1xCマウントアダプタ(LW-820T標準付属品)

Cマウントアダプタ1x(LW-820T標準付属品)を介して三眼鏡筒に接続した場合の撮影範囲です。

撮影範囲は長辺18.67mm(対角22.47mm)程度です。

ケラレは生じておらず、顕微鏡カメラのなかでは比較的広い撮影範囲が得られています。接眼レンズ視野の端部は写り込まないため、接眼レンズ視野中心付近にある対象物の撮影や、ケラレのない像を得られたい場合に適しています。

3. WRAYCAM-NOA2000N+SXY050(0.5倍)

CマウントアダプタSXY050(0.50倍)を介して三眼鏡筒に接続した場合の撮影範囲です。

撮像領域が撮影範囲内にほぼすべて入り込む状態となり、接眼レンズ視野とほぼ同等の非常に広い撮影範囲が得られますが、反面非常に広い範囲が黒くケラレた状態になります(短辺側は、僅かに接眼視野に及びません)。

撮影後にトリミングは可能であるものの、ケラレのない像を得るという用途には適しません。接眼レンズを覗きながら行っている手技をディスプレイ上で共有する等の用途であれば有用です。

なお、撮像領域に含まれていても、レンズの端部を使用することになる辺縁部は像クオリティが低下するというデメリットがあります。

4. WRAYCAM-NOA2000N+SXY035(0.35倍)

CマウントアダプタSXY035(0.35倍)を介して三眼鏡筒に接続した場合の撮影範囲です。

短辺側も含め、接眼レンズ視野をすべて撮影範囲内に収められています。

接眼レンズ視野全体を供覧したり、映像として保存するような用途に適しています(手術手技や辺縁部付近にある対象物の確認、全体の対象物個数のカウントなど)。

ただし、撮像領域辺縁部は像クオリティが低下する点や、カメラの解像度はケラレている部分を含めたものになるため、像が得られている箇所の解像度はカメラ自体の仕様上の解像度より大幅に低下することになります。

デメリットもありますが、顕微鏡観察者が見ている視野をほぼそのまま共有できることは大きなメリットにもなり得ますので、それぞれを理解したうえで使用しましょう。